顕微鏡 第45巻▶第1号 2010
■講座

単粒子解析のためのTEMデータ収集の自動化

中村奈津子

日本電子株式会社

要旨:透過型電子顕微鏡を用いた構造生物学の研究手法の一つに単粒子解析が挙げられる.単粒子解析には試料の結晶化が不要であるという大きな利点があると同時に,膨大なデータ収集が要求されるという課題がある.一般にこの分野においては,支持膜の孔に試料液の薄膜を形成して凍結し回折(DIFF)モードでのシャドウイメージによって試料探索を行うが,その結果信号ノイズ比が低く,また糸巻きひずみやたる型ひずみを生じるという像の特性を生じ,そのことが自動化を困難にしている.これらの課題を克服して開発に成功した自動データ収集システムJADASについて紹介する.

キーワード:単粒子解析,DIFFシャドウイメージ,ひずみ補正,自動データ収集,画像処理

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