顕微鏡 第46巻▶第1号 2011
■学会賞(瀬藤賞)受賞論文

神経細胞機能の可視化技術

岡部繁男

東京大学大学院医学系研究科神経細胞生物学分野

要旨:神経細胞は膨大な数のシナプス結合を脳内で形成し,認知・学習・行動などの脳機能を実現している.シナプスは特殊な細胞間接着装置であり,蛋白質分子が集積することで構造を分化させ,神経伝達物質の放出と受容体への結合による活性化を通して神経細胞間の情報伝達の基盤となる.シナプスに集積する分子には受容体,足場蛋白質,細胞内情報伝達分子など多種類が知られており,これらの分子のシナプス輸送,局所での構造への組み込み,更に安定化のメカニズムについての情報が機能の理解には必須である.光学顕微鏡を用いたシナプス分子の動態解析により,シナプスが形成される過程とその維持のメカニズム,さらにシナプス活動による分子の局在や機能の変化についての情報が蓄積されてきた.本論文ではGFPとの融合シナプス分子の生きた神経細胞内での可視化技術を利用して得られたシナプスの形成・リモデリングに関する知見を紹介する.

キーワード:蛍光蛋白質,二光子顕微鏡,シナプス,一分子イメージング

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