顕微鏡 第46巻▶第3号 2011
■講座

レクチンを用いた微小血管透過性亢進の3次元イメージングと定量化

森川俊一,渡邉俊之,江崎太一

東京女子医科大学解剖学発生生物学講座
Carl Zeiss MicroImaging Co., Ltd.

要旨:微小循環系において血管壁の透過性亢進により引き起こされる血漿滲出は,種々の炎症をはじめ組織の再生過程や腫瘍に伴う血管新生との関連において重要な所見である.我々は,血管内皮細胞の糖鎖を特異的に認識するトマトレクチンを蛍光標識して実験動物に静脈注射し,共焦点レーザー走査顕微鏡微を用いて微小血管網を明瞭かつ簡便に立体視する方法を開発したが,この方法で血管透過性亢進の生じた微小循環系を観察すると,血管壁から血漿成分と共にレクチンも間質へ漏れ出すために,血管のみならず血漿滲出部も同時に検出することができる.さらに,共焦点顕微鏡に連動するIMARISソフトウェアを用い,取得した画像データを3次元像に再構築することで,間質へ漏れ出たレクチンの量を定量化することも可能となる.本稿では,このレクチンを用いた血管透過性亢進の観察と定量化の方法について具体的な例を挙げて紹介する.

キーワード:レクチン,血管透過性,血漿滲出,3次元イメージング,IMARIS

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