紡錘体微小管の生成メカニズムに関する微細構造学的解析
a名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻細胞内ダイナミクスグループ
b東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系
要旨:紡錘体は染色体を正しく二分するための構造である.機能的な紡錘体は,分裂期に微小管が高度に組織化されることにより形成される.これまでに,紡錘体微小管を生成する微小管形成中心として,中心体と染色体が知られてきた.近年,これらに加えて,紡錘体内部の微小管自身も,紡錘体微小管の生成・増幅に重要であることが分かってきた.このような微小管依存的微小管生成過程で中心的な役割を果たすのが“オーグミン複合体”である.我々はごく最近,ヒト紡錘体を電子線トモグラフィーおよび三次元モデリングにより解析した.その結果,オーグミン依存的な新規微細構造“エンドリンク”を介して微小管の枝分かれが形成されていることを突き止め,紡錘体における微小管依存的微小管生成過程に関する重要な知見を得た.
キーワード:有糸分裂紡錘体,微小管,オーグミン,電子線トモグラフィー,三次元モデリング