顕微鏡 第48巻▶第2号 2013
■講座

包埋カプセル補助ツールを用いたピンポイント電顕試料作製法

髙橋伸育,豊嶋典世,澤口朗

宮崎大学医学部解剖学講座 超微形態科学分野

要旨:スライドガラス上に貼付した準超薄切片やカバーガラス上に培養された培養細胞を電子顕微鏡で観察する場合,これらの観察試料を樹脂に包埋して超薄切する必要がある.従来法の1つに,樹脂を充填した包埋カプセルを試料の上から被せて包埋する方法があるが,包埋カプセルとガラス面が接着していないため,樹脂の漏出や重合過程でカプセルが横滑りする問題があった,特に免疫電顕用の低粘性樹脂は軽微な振動でも漏出しやすく応用が困難を極めた.
これらの問題を解決するため,包埋カプセルとガラス面を接着させる「包埋カプセル補助ツール」を独自に作製し,簡便かつ確実な電顕試料作製法を開発した.本法により,一般的なエポキシ樹脂のみならず低粘性メタクリル樹脂の包埋において目的部位をピンポイントで透過電顕観察することが容易になり,医学生物学研究における電子顕微鏡の応用が広がるものと期待される.

キーワード:包埋補助ツール,樹脂包埋,電子顕微鏡,試料作製

本文PDF