顕微鏡 第49巻▶第1号 2014
■解説

CLによるプラズモニクス材料の研究

山本直紀,本田昌寛,渡辺裕朗

東工大院理工

要旨:金属表面を伝播する表面プラズモンポラリトン(SPP)は表面に局在する電磁場を伴う電荷密度波であり,光の回折限界を超えて波長以下の狭い領域に閉じ込めることができ,入射光の電場を増強する性質をもつことから,その性質を利用したプラズモニクスと呼ばれる技術分野が急速に発展している.SPPは高速電子の入射により励起できるので,走査型透過電子顕微鏡(STEM)の細く絞られた電子ビームを用いることでナノメーターオーダーの高い空間分解能の測定が可能となる.励起されたSPPは表面ナノ構造により光に変換される.STEMと組み合わせたカソードルミネッセンス(CL)検出システムは,放射された光のエネルギースペクトル,偏光特性,放射角依存性を調べることができる.本稿では,STEM-CL法を用いてプラズモニック結晶やプラズモニックCavityにおけるSPPの分散関係やバンドギャップ,定在波の性質を調べた結果を紹介する.

キーワード:カソードルミネッセンス,表面プラズモン,プラズモニック結晶,走査型透過電子顕微鏡

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