顕微鏡 第49巻▶第1号 2014
■講座

希土類添加ナノ蛍光体粒子を用いたカソードルミネッセンス・蛍光細胞イメージング

新岡宏彦,古川太一,橋本守

大阪大学基礎工学研究科

要旨:蛍光顕微鏡を用いた細胞観察では,様々な色の蛍光プローブを用いることにより生体分子を染め分け,色によって様々な種類の生体分子を見分ける.もし,電子顕微鏡で蛍光顕微鏡のように色を付け観測することができたなら,1個1個の蛋白質の種類を見分けながらのイメージングも夢ではないだろう.電子顕微鏡を用いた細胞のカラーイメージングを目指し,電子線照射によってカソードルミネッセンス(CL: cathodoluminescence)を呈する3色の希土類添加Y2O3ナノ蛍光体を作製した.また,作製したナノ蛍光体はUV光照射によっても蛍光発光を呈するので蛍光顕微鏡による観察も可能である.本稿では,これら希土類添加Y2O3ナノ蛍光体の作製と,電子顕微鏡及び蛍光を用いた培養細胞観察への応用について概説する.

キーワード:カソードルミネッセンス顕微鏡,蛍光顕微鏡,バイオイメージング,蛍光プローブ

本文PDF