顕微鏡 第49巻▶第2号 2014
■解説

X線タイコグラフィー技術の進展

高橋幸生a,b

大阪大学大学院工学研究科 精密科学・応用物理学専攻
理化学研究所 放射光科学総合研究センター

要旨:コヒーレントX線回折イメージングは,試料にコヒーレントX線を照射した際,遠方で観測されるコヒーレントX線回折強度パターンに位相回復計算を実行することで,試料像を再構成するレンズレスイメージング技術であり,高い空間分解能を達成可能である.X線タイコグラフィーは,拡がった試料のコヒーレントX線回折イメージングを可能にする手法であり,測定対象を格段に広げることができる.我々は,大型放射光施設SPring-8において,X線集光鏡と空間フィルターを駆使した高分解能・高感度X線タイコグラフィーを開発した.また,マルチスライスアプローチを利用したX線タイコグラフィーを実証し,投影近似の成立しない厚い試料の高分解能X線タイコグラフィーを可能にした.

キーワード:コヒーレント回折イメージング,タイコグラフィー,放射光,位相回復,マルチスライスアプローチ

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