顕微鏡 第49巻▶第3号 2014
■講座

収差補正TEM像における高さ分解能と三次元ナノ構造情報の検出

山﨑順

大阪大学超高圧電子顕微鏡センター

要旨:収差補正TEMを用いた高さ分解能結像について,位相コントラスト伝達関数の観点と波動場の伝播の観点から解説する.カーボンナノチューブの傾斜角度や立体交差構造,金ナノ粒子を担持したカーボン膜厚の測定などの事例を引用しつつ,高さ分解能観察を活用した三次元ナノ構造情報の検出について説明を行う.また,有限厚さを持つ物質を位相物体として扱うための正焦点位置の取り方について議論し,高さ選択結像についての解説を行う.具体例として,単層カーボンナノチューブの上下格子の高さ選択結像や,アモルファス膜中の埋め込み構造の検出についての説明を行う.

キーワード:収差補正TEM,高さ分解能,正焦点位置,高さ選択結像,三次元ナノ構造

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