顕微鏡 第50巻▶第1号 2015
■電顕のためのシミュレーションの基礎

電子回折の幾何学とその計算法

小暮敏博

東京大学大学院理学系研究科

要旨:パソコンを使って電子回折図形を幾何的に計算・描画する方法を逆格子,エワルドの作図,消滅則等を基に説明する.エワルドの作図から励起誤差を数式化し,それがある範囲以内に収まる逆格子点をプロットすることで,高次のラウエゾーンも含めた回折図形を描画する.また実測された電子回折図形から,考えられる結晶の方位や反射の指数などを計算する手順を述べる.ゼロ次ラウエゾーンから得られる反射間の3つの距離を満足する指数あるいは方位の候補を探し,その方位で計算・描画した回折図形と比較することでその候補の妥当性を判断する.実測と計算との不一致の原因についても考察する.

キーワード:電子回折,逆格子,エワルドの作図,禁制反射,コンピュータープログラム

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