顕微鏡 第50巻▶第2号 2015
■解説

STEM電子回折法を用いた非晶質物質の局所構造解析

平田秋彦,陳明偉

東北大学原子分子材料科学高等研究機構

要旨:これまで非晶質物質の局所構造解析に関して多くの研究がなされてきている.実験的には主に,広範囲から得た回折強度から動径分布関数を求め,配位数や原子間距離を計算することにより,特徴的な短~中範囲秩序構造の存在が議論されてきている.このような大域からの平均構造解析は非晶質物質の理解には欠かせないものであるが,これに加え局所領域からの直接的な構造情報も相補的に必要である.我々は以前からナノ電子回折法に取り組んできていたが,今回はその更なる改良を試みた.具体的には,走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて0.3-0.4 nm径の電子線を準備し,極微小領域からの電子回折を得ることで,非晶質物質,特に非晶質合金の局所構造解析を行った.本解説記事ではこれまで得られた結果について紹介する.

キーワード:非晶質構造,電子回折,STEM,局所構造秩序

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