顕微鏡 第50巻▶第2号 2015
■最近の研究と技術

生体内で小分子薬剤の濃度分布を可視化する

三沢和彦,寺田純雄

東京農工大学大学院工学研究院
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科/脳統合機能研究センター

要旨:蛍光標識では可視化が難しかった生体中の小分子(吸入麻酔薬分子,ステロイド分子,アミノ酸,ビタミン類など)の局在分布を画像化することを目標に,位相制御コヒーレントラマン顕微鏡を開発した.この装置を用いて,麻酔薬分子の画像化,イカ神経細胞中の薬剤分子の検出,マウス角膜中のタウリン分子浸透過程の測定に成功した.測定対象を選ぶことにより,生命科学や医療の分野で限りない応用がひろがるものと考えられる.

キーワード:コヒーレントラマン散乱顕微鏡,小分子薬剤の濃度分布,フェムト秒パルスレーザー,麻酔薬分子,角膜浸透

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