顕微鏡 第50巻▶第3号 2015
■解説

単粒子解析による生体高分子複合体の構造解析とその最近の進展

光岡薫

大阪大学超高圧電子顕微鏡センター

要旨:単粒子解析は,低温電子顕微鏡を用いて撮影した粒子像から生体高分子複合体の立体構造を計算する手法である.最近この分解能が向上し,原子モデルが得られるようになった.本解説では,それを可能とした技術的要因である,電子直接検出カメラと自動撮影,解析ソフトウェアなどについて紹介する.その中では電子直接検出カメラの登場が最も重要と考えられるが,それとともに動画補正技術や低温電子顕微鏡法の自動化,ベイズ統計を利用した画像解析ソフトなどの進展により,高分解能が得られるようになった.そして,その単粒子解析法の詳細を我々の例などを用いて述べ,電子顕微鏡試料調製法についても紹介する.それにより,最近の単粒子解析の状況について理解を深め,興味を持っていただければと考える.

キーワード:単粒子解析,低温電子顕微鏡法,生体高分子複合体,画像解析

本文PDF