顕微鏡 第51巻▶第1号 2016
■特集:細胞内および細胞間輸送の最新知見

ショウジョウバエ視細胞の膜タンパク質選別輸送における低分子量Gタンパク質Rab6の役割

佐藤卓至,中村祐里,佐藤明子

広島大学大学院総合科学研究科

要旨:私達の体を形作る細胞は多数の膜ドメインを持つが,その形成・維持は細胞機能に必須である.膜タンパク質のドメイン特異的な局在は,生合成後の選別輸送によって実現される.我々はショウジョウバエ視細胞において,低分子量Gタンパク質のRab6が頂端面である光受容膜とストーク膜への輸送には必須であるのに対して,側底面膜への輸送には必要ないことを見出した.Rab6はトランスゴルジ網(TGN)からリサイクリングエンドソーム(RE)にかけて局在し,TGNでは側底面輸送に関わるクラスリンと,REでは光受容膜輸送に関わるRab11と共局在した.これらの結果から,まず側底面への選別がTGNで行われ,頂端面へ輸送される膜タンパク質は共にRab6によってREに輸送された後,光受容膜の膜タンパク質はRab11依存的に,ストーク膜の膜タンパク質は未同定の因子により各ドメインへ特異的に輸送されるという段階的選別モデルを提案したい.

キーワード:輸送,極性,選別,トランスゴルジ網,リサイクリングエンドソーム

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