顕微鏡 第51巻▶第1号 2016
■解説

天然の界面が示す磁性―電子線ホログラフィーによる解析―

村上恭和a,b,新津甲大,谷垣俊明,朴賢洵,貝沼亮介,進藤大輔c,g

九州大学超顕微解析研究センター
九州大学大学院工学研究院
理化学研究所
日立製作所
東亜大学校(韓国)
東北大学大学院工学研究科
東北大学多元物質科学研究所

要旨:原子配列が乱れる界面は,磁気的・電気的性質の特異点でもある.例えば界面領域の磁性の異常を明らかにすることは,磁石,記録媒体,磁気エレクトロニクス素子等の開発にとって重要な課題である.一方,本稿で注目する逆位相境界(APB)のように,複雑な形態を示す天然の界面の磁性を実験的に調べることは難しく,未だに挑戦的な課題でもある.本研究ではFe70Al30合金に生じた厚さ2 nm程度のAPB領域に注目して,その磁束密度を電子線ホログラフィーで直接計測することを試みた.

キーワード:電子線ホログラフィー,逆位相境界,磁束密度,原子配列の規則度,磁区構造

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