顕微鏡 第51巻▶第3号 2016
■講座

電子レンズの設計技術(前篇)(基礎理論から実装技術,装置応用まで)

藤田真,小瀬洋一

Shimadzu (Asia Pacific) Pte Ltd.
(株)日立ハイテクノロジーズ

要旨:電子レンズの設計技術について2回に分けて概説する.前篇(本講座)では光学設計について解説する.電子光学では電磁ポテンシャルが通常光学の屈折率の働きを担う.電子光学設計は実効的な屈折率であるポテンシャルの空間分布をデザインすることと言えるが,そこにはLaplace場という強い制約が課せられる.そのため電子レンズでは収差の影響を抑えるために短焦点距離化という手法がとられてきた.代表的な短焦点距離化の原理について紹介する.また近軸軌道方程式から得られる光学パラメータとエミッタンス図を組み合わせた効率的な光学設計手法について述べる.後篇では低収差レンズの具体的な設計例やその実装に必要な技術についてまとめる予定である.

キーワード:電磁ポテンシャル,屈折率,光学パラメータ,エミッタンス図,焦点距離

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