顕微鏡 第51巻▶第3号 2016
■最近の研究と技術

環状暗視野STEM像の定量計測と定量解析による結晶構造解析の試み

山下俊介a,b,石塚和夫b,c,木本浩司a,b

九州大学
物質・材料研究機構
HREM Research Inc.

要旨:環状暗視野(ADF)像を用いて結晶構造解析を行うため,ADF像を定量的に計測・解析する技術開発を進めている.本稿では,ADF像計測システムの応答特性を評価して定量計測を可能にした結果と,シミュレーションとの定量比較をした結果を紹介する.定量化したADF像はシミュレーションとよい一致を示した.例えばグラフェンの層数が直接計測できるほか,高分解能像からは実効光源分布や電子銃の輝度などが決定できる.

キーワード:走査透過電子顕微鏡,環状暗視野,定量解析,マルチスライスシミュレーション,グラフェン

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