顕微鏡 第52巻▶第3号 2017
■講座

電子銃・電子源(前篇)―物理・光学的基礎―

下山宏,藤田真

名城大学名誉教授
Shimadzu (Asia Pacific) Pte Ltd.

要旨:「電子源・電子銃」をテーマに2回に分けて概説する.前篇(本講座)では電子源の基本特性,特に軸上(理論)輝度と電子放出モードについて解説を行う.透過型/走査型電子顕微鏡はともに電子源を高輝度化することでその性能を大きく向上させた.軸上輝度はほぼ陰極電子流密度によって決定され,高輝度電子源の実現とは高電子流密度を提供できる陰極の開発であることを示す.陰極電子流密度は,「仕事関数」「陰極温度」ならびに「電界強度」の関数であり,これらの動作条件が電子放出モードを決める.熱電子放出,ショットキー放出,電界放出の各モードについて電子流密度の動作パラメータ依存性と期待される輝度を示す.電界印加により電子流密度が大幅に向上することが分かる.

キーワード:輝度,電子放出モード,仕事関数,陰極温度,電界強度

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