顕微鏡 第53巻▶第1号 2018
■解説

磁場下ローレンツ電顕法を用いた様々な磁気スキルミオンの生成とその場観察

于秀珍

理化学研究所創発物性科学研究センター

要旨:磁気スキルミオンはナノメートルスケールの磁気渦であり,外部磁場により磁性体中に励起される安定なトポロジカルスピンテクスチャーである.渦の外側と渦の中心の電子スピンは反平行であり,その間のスピンは徐々に方向を変え,渦の形に整列している.ナノスケールスキルミオンは,情報キャリアーとして,次世代の高密度・低消費電力の磁気メモリ素子への応用が期待されている.スキルミオンの性質を理解し制御するためには,スキルミオンの実空間観察が必要である.本稿では,磁場下ローレンツ電子顕微鏡法を用いた様々なスキルミオンを電子顕微鏡中に生成し,その場観察を行った結果を解説する.

キーワード:磁性膜,スキルミオン,磁場下ローレンツ電子顕微鏡法