顕微鏡 第53巻▶第2号 2018
■講座

ベイズ超解像による画像再構成―カメラの限界を超える―

三好誠司

関西大学システム理工学部

要旨:ベイズの定理で計算される事後確率を用いる推定はベイズ推定と呼ばれる.本稿ではベイズ推定に基づく超解像技術について紹介する.特に,Kanemuraらにより提案された複層ベイズ超解像を中心に解説する.ベイズ超解像では観測画像生成時の平行移動や回転移動を積極的に利用するので,観測画像の画素サイズよりも小さい特徴を復元することが可能である.さらに複層ベイズ超解像では画像の事前確率にラインプロセスを導入することにより,エッジの再現が可能となる.複層ベイズ超解像の数式導出の概要について述べた後,実験結果を示すことにより,その効果を明らかにする.

キーワード:超解像,ベイズ推定,ラインプロセス,EMアルゴリズム