ご挨拶

日本顕微鏡学会第57回シンポジウム開催にあたって

第57回シンポジウム実行委員長 丹司 敬義
プログラム委員長 藤本 豊士

 本学会は、電子顕微鏡を中心にした各種顕微鏡法とその周辺に関する学問分野の発展を通じ、社会および産業界に寄与することを目的として、顕微鏡(学)に関する理論、基礎的な研究を行うとともに、医学、生物学、材料科学分野における実際問題への応用研究も盛んに行っています。近年の顕微鏡の発展はめざましく、最新の装置を用いれば誰でもが比較的容易にきれいなデータを取得することが出来るようになってきました。しかしながら、真にそのデータを解析し現象を把握するためには、そのデータの背景にある顕微鏡学の基礎の理解が欠かせません。そこで本シンポジウムは、「顕微鏡学の次世代への継承」というテーマの下、今まで顕微鏡学を牽引してきて下さった先達と今最前線におられる若手研究者とを招き、顕微鏡学をその歴史も含めて俯瞰してみたいと企画いたしました。学生諸君を含む若い研究者の皆さんの参加をお待ちしています。
 装置・理論分野、ならびに、材料分野のセッションでは材料の構造と欠陥の解析、そして、各種微小分析技術について講演して頂きます。また、生物系セッションは、様々な顕微鏡を使って「分子を見る」研究にフォーカスして企画しました。本学会には「細胞を見る」研究をしておられる方も大勢おられますが、演者の方にはできる限り分野外の人にも分かりやすく話して頂くようお願いしています。「分子を見る」研究がどこまで進んでいるのか、シンポジウム講演を是非お楽しみ頂きたいと思います。
 また今回は、「走査プローブ分科会」と「その場観察技術研究部会」にそれぞれセッションを企画して頂きました。両会会員の御協力に感謝いたします。