顕微鏡 第45巻▶第1号 2010
■特集:アジア若手の研究から

商用ポリマースポンジ(発泡スチロール)を鋳型として使ったサンドイッチ構造の芯材料としての多孔質セラミックの作製

Mohd Al Amin Muhamad Nora, Hazizan Md. Akilb and Zainal Arifin Ahmadb

aDepartment of Chemical Sciences, Faculty of Science and Technology, Universiti Malaysia Terengganu
bSchool of Materials and Mineral Resources Engineering, Engineering Campus, Universiti Sains Malaysia

要旨:環境技術として触媒コンバータ,ディーゼル粉じんフィルター,多孔質生体材料,固体酸化物燃料電池及びサンドイッチ構造の軽量芯材などにまで拡がりつつあるセラミックス発泡体応用への要求を満たすために,その工学応用における重要性が特性制御されたセラミックス発泡体を生産する技術開発を先導している.本研究では商用ポリマーフォーム(発泡スチロール)を鋳型材料として用いることで,特性制御されたセラミックス発泡体を作製した.できたセラミックス発泡体の微細構造が鋳型材料の複製になっていることがSEM観察によって明らかになり,セラミックススラリーの固形分率及び鋳型の密度を様々に変えることによって,それらが多孔質セラミックスの微細構造に及ぼす効果を確認した.固形分率が増加すると共に,孔(pores)の量,及びサイズは減少し,胞(cell)壁は厚くなる.これらの変化はアルキメデス法によって測定される多孔性(porosity)及び密度によって決まる.セラミックス固形分率が20から45%へと増加するに従って,多孔性は82%から12%へと減少し,密度は0.40から1.99g/cm3に増加した.さらに曲げ強度が0.59から14.20MPaにまで増加するという結果が得られた.特性制御可能なセラミックス発泡体をこのように単純で比較的安価な製造法でうまく作ることができた.低密度の多孔質セラミックスはサンドイッチ構造の芯材としての新たな候補材として適していると思われる.

キーワード:多孔質セラミックス,高分子フォーム複製,固形分率,高分子フォーム鋳型,サンドイッチ構造作製

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