顕微鏡 第51巻▶第3号 2016
■講座

FIB-SEM法を活用した糸球体足細胞の立体構造解析

市村浩一郎a,b,角田宗一郎,坂井建雄

順天堂大学大学院医学研究科解剖学・生体構造科学
順天堂大学大学院医学研究科研究基盤センター形態解析イメージング研究室

要旨:足細胞は腎糸球体における血液の選択的濾過に必須な上皮細胞であり,複雑な突起構築を有する.足細胞はボウマン腔と呼ばれる腔所に面していることから,走査電顕法によりその立体構造が解析されてきた.しかし,従来の走査電顕法による解析にはいくつかの限界があり,足細胞の正常構造,発生過程,病態変化の三次元的な理解は完全とは言えなかった.私どもはFIB-SEM法を足細胞の三次元構造解析に適用し,従来の方法では解析が困難であった多くの問題を解決できた.本講座では,FIB-SEM法で明らかにできた足細胞の立体構造を,正常状態,発生過程,病態変化という3つの観点から概説したい.

キーワード:糸球体,足細胞,FIB-SEM,ブロック断面SEM観察法,立体再構築

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