イネキシンギャップ結合チャネルの原子分解能単粒子解析
名古屋大学細胞生理学研究センター/名古屋大学大学院創薬科学研究科
要旨:ギャップ結合チャネルは隣接する細胞において細胞質間の物質透過を担い,電気的,化学的な結合を実現している.ギャップ結合チャネルを構成するタンパク質には2つの遺伝子ファミリーが存在し,脊椎動物(脊索動物を含む)に存在するコネキシンと,無脊椎動物が持つイネキシンがある.不思議なことにこれらの間には有意なアミノ酸配列の類似性が見られず,遺伝的な関係は明確ではない.最近我々の行ったクライオ電子顕微鏡による単粒子解析で,線虫の持つイネキシン6(innexin(INX)-6)の原子構造が明らかとなった.先行するコネキシン26(connexin-26)の原子構造と比較すると,サブユニットの数は異なっているが,単量体のアレンジメントやN末端が作る漏斗状(ファネル)構造など共通点も多く存在した.本稿ではINX-6の原子構造の特徴を紹介するほか,今回のクライオ電子顕微鏡単粒子解析を行う上で,高分解能化に重要な役割を果たした試料調製法についても紹介する.
キーワード:ギャップ結合,イネキシン,クライオ電子顕微鏡,単粒子解析,クライオ電顕試料調製