電子エネルギー損失分光法(EELS)関連 |
質問1. |
EELSが軽元素の検出を得意とする理由はどこにあるのですか。 |
回答1. |
軽元素の被弾性散乱断面積が重元素のそれと比較して大きいため,同じ原子数が存在する場合軽元素の信号強度が強くなり,測定しやすいからです。ただし,重元素でもエネルギー的に浅いところに存在する内殻の励起では,非弾性散乱断面積は大きくなるため。必ず軽元素が有利というわけではありません。また,軽元素の内殻励起のスペクトルは比較的損失エネルギーが低いところに現れるので,EELSでは測定しやすいという面もあります。(京都大学,倉田博基会員) |
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質問2. |
EELSでは元素分析の定量性はどの程度あるのでしょうか。 |
回答2. |
EELSで定量分析する場合の精度はおよそ5%から10%程度と言われています。これは,定量する際に用いる各吸収端の非弾性散乱断面積の計算値の精度に依存しています。また,厚い資料を測定した場合などは多重散乱の効果をディコンボリューションしていないと定量結果に信頼性はありません。また,スペクトルのS-N比が悪い場合には,バックグラウンド除去の精度が低下するため,定量結果に影響を与えます。(京都大学,倉田博基会員) |
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