JSM日本顕微鏡学会

技術認定試験ガイドライン

大項目 小項目 キーワードおよび注意点
1章
総論
      エルンスト・ルスカ、分解能、透過電子顕微鏡、走査電子顕微鏡、細胞の構造と機能、
超薄切片法、固定、脱水、包埋、電子染色、像記録法、ネガティブ染色、蒸着法、
免疫電顕法、細胞化学、オートラジオグラフィー、凍結技法、電子顕微鏡の構造、軸調整、
基本操作、保守、電子線、電子レンズ、収差、電子回折、コントラスト、真空、試料汚染、
電子線損傷、元素分析装置、共焦点レーザー顕微鏡、走査プローブ顕微鏡
2章
細胞の
構造と
機能
1節
細胞
    原核細胞、真核細胞、核膜の有無、細胞小器官
2節
研究法
A形態観察法   光学顕微鏡、電子顕微鏡(透過電子顕微鏡、走査電子顕微鏡)、共焦点レーザー顕微鏡、
X線顕微鏡、走査プローブ顕微鏡
B細胞分画法   遠心分画法、密度勾配遠心法
3節
細胞の構造
A細胞壁   植物細胞(一次細胞壁、二次細胞壁、多糖、セルロース、ペクチン)、
真菌細胞(マンナン、キチン、グルカン、糖タンパク質)、
細菌細胞(リポ多糖タンパク質、ペプチドグリカン)
B細胞膜   生体膜、単位膜(外葉、中間葉、内葉)、厚さ、脂質二重膜(親水基、疎水基)、
流動モザイクモデル、リン脂質、タンパク質、膜タンパク質(表在性、内在性)、糖衣、
接着装置、閉鎖帯(密着結合)、接着帯(中間結合)、デスモソーム(接着班)、
ヘミデスモソーム(半接着斑)、ギャップ結合、膜内粒子
C細胞質   細胞小器官(オルガネラ)、細胞質基質、単膜細胞小器官、複膜細胞小器官
D.核   核膜(外膜、内膜)、核質、核膜孔、染色質(真正染色質、異質染色質)、核小体
4節
細胞小器官
A小胞体と
リボソーム
  粗面小胞体、滑面小胞体、付着リボソーム、自由リボソーム、ポリソーム、タンパク合成、
解毒
Bゴルジ装置   ゴルジ層板、トランス側(凹面、成熟面)、シス側(凸面、形成面)、小胞、分泌顆粒、
空砲、糖鎖付加
Cライソソーム   食作用、液胞、加水分解酵素、酸性ホスファターゼ
Dエンドソーム   エンドサイトーシス(飲食作用)
Eペルオキシソーム   過酸化水素産生、ペルオキシダーゼ、カタラーゼ
F分泌顆粒   開口分泌(エクソサイトーシス)
G液胞   液胞膜(トノプラスト)
Hミトコンドリア   複膜(外膜、内膜)、クリステ、電子伝達系と酸化的リン酸化系の酵素、ATP産生、
DNA、RNA、自己増殖
I色素体・葉緑体   複膜、ストロマ、チラコイド、グラナ、光合成、DNA、RNA、自己増殖
J細胞骨格 a微小管 モータータンパク質、太さ
b中間径線維 形態保持、太さ
cアクチンフィラメント アクチン、ミオシン、太さ
K中心小体   有糸分裂
L細胞表面の特殊化   微絨毛、鞭毛、線毛、中心細管、周辺細管
5節
その他
A細胞外基質   基底層(基底膜、基底板)、膠原線維、弾性線維、コラーゲン
B細胞分裂   有糸分裂、無糸分裂、染色体、中心小体(中心体)、紡錘体、微小管、収縮環
C植物の特徴   細胞壁〔3節A参照〕、色素体・葉緑体〔4節I参照〕、ミトコンドリア、液胞
D微生物の特徴 a原生動物 真核生物、単細胞、運動性
b微細藻類 真核生物(ラン藻を除く)、葉緑体、光合成、ピレノイド
c真菌 真核生物、カビ、酵母、キノコ、細胞壁〔3節A参照〕
d細菌 原核生物、細胞壁〔3節A参照〕、グラム陽性菌、グラム陰性菌、リボソーム、鞭毛、線毛
eウイルス 細胞構造をもたない、DNAウイルス、RNAウイルス、ヌクレオカプシド、エンベロープ
fプリオン 細胞構造をもたない、タンパク質
3章
透過電顕試料作製法T(超薄切片法)
1節
固定
A原理 a化学固定法 酸化反応、還元反応、自己融解(オートリシス)
b物理固定法 4章3節・凍結技法参照
B固定剤 a原理 凝固、架橋、溶出、固定効果
b種類 アルデヒド系固定剤(グルタルアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アクロレイン)、
重金属系固定剤(四酸化オスミウム、過マンガン酸カリウム)、タンニン酸、還元剤、酸化剤
c性状・特性 分子量、純度、色、揮発性、形状、浸透性、毒性、固定機序、保存
C緩衝液の
種類と性質
  pH調整
aリン酸緩衝液 ゼーレンゼン液、ミロニック液、沈殿
bカコジル酸緩衝液 酵素細胞化学、ヒ素
D固定液 a浸透圧 体液の浸透圧、固定液の浸透圧と固定剤の浸透圧、試料の情報
bpH 弱アルカリ性、試料の情報
c温度 自己融解、微小管などの固定温度
d切り出し・細切 大きさ、試料の情報
e時間 収縮、硬化、破壊、溶解
E固定法 a灌流固定法 洗浄液、固定液、液温、浸透圧、灌流圧
b浸漬固定法 カミソリ、大きさ、時間、表層と中心部、固定差勾配
Fその他 a単層培養細胞 固定温度
b遊離細胞・微生物・植物 ペレット固定法、懸濁固定法、毛細管固定法、減圧脱気、減圧浸潤
2節 
脱水・包埋
A脱水・置換法 a基本的事項 エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、可溶性タンパク質、脂質、
抽出、温度(低温)、分子量
b脱水剤 エタノール、アセトン、上昇系列、時間、回数、温度、重合阻害
c置換剤 酸化プロピレン、n-ブチルグリシジルエーテル(QY-1)、メチルグリシジルエーテル(QY-2)、
時間、回数
B包埋法 a基本的事項 熱重合、紫外線重合、収縮
b包埋剤 必要条件
1.エポキシ樹脂 Epon-812、硬化剤、DDSA、MNA、加速剤、DMP-30、Luft(ルフト)の処方、保存、廃棄、
重合温度、カプセル、包埋板、毒性、Araldite(アラルダイト)、Spurr樹脂、三次元構造、粘度
2.アクリル系樹脂 LR White、LR gold、Lowicryl K4M、Lowicryl HM20、紫外線重合、包埋後免疫電顕法、
低温下、毒性、ドラフト、一次元重合
3.ポリエステル系樹脂 アセトン脱水、熱重合、重合阻害、粘性
c重合不全 樹脂の混合不良、吸湿(湿気)、脱水不良、浸透不良、薄切困難、電子染色不良、
切片断裂、酸素、重合阻害
dモノマーの保存 吸湿性、除湿、遮光、紫外線、冷蔵、暗所
3節
薄切
A目的・基本概念 a超薄切片法 超薄切の必要性、切片の標準の厚さ
B環境   温度、湿度、振動、輻射熱、空気流、ほこり
Cナイフ a基礎的事項 刃角、逃げ角
bガラスナイフ ガラスナイフメーカーと作製法、ガラスナイフ良否の検査、ボートの取り付け
cナイフボート 水面伸展、回収、水面の高さ
dダイヤモンドナイフ 刃先の濡れ、イオンスパッター装置、刃先のクリーニング
D超ミクロト−ム a試料取り付け 試料回転、垂直面平行調整(アオリ調整)
bナイフ取り付け 逃げ角、水平面平行調整(フレ調整)
c上方照明 水面の高さの調整、薄切片と薄切状態の確認
dバックライト 試料と刃の隙間
e試料を送り出す方式 機械送り方式、熱膨張方式
fリトラクション 試料が上に戻るとき試料が後退する(LKBはナイフが後退)、水引き防止
E薄切の実際 a準超薄切片のトリミング カミソリ刃、試料ブロックの薄切面を露出、傾斜角45°
b準超薄切片の光顕観察、 ナイフの影、荒削り、面出し、面合わせ、0.5μm厚切片、加温伸展、加温染色
トルイジンブルー、メチレンブルー、観察面の確認
c超薄切片用のトリミング 超薄切面の大きさ0.5mm角、形状
d超薄切片の作製 面合わせ(バックライト、ナイフの影、ナイフ背面の汚れ、ナイフステージ送り)
水面の高さの調整、薄切速度 1mm/秒、切片の干渉色、厚さ60〜80nm
e連続切片 トリミングの形状、リボン状
f超薄切片の回収(載物) グリッド、親水化処理、粘着処理、支持膜
押し付け法、引き上げ法、ループ法
F薄切のトラブルと
その要因
a環境 温度、湿度、振動、輻射熱、空気流、ほこり
b試料 樹脂(重合不完全、硬度不適当、浸透が悪い、硬さが異なる、異物が混入)
cナイフ 鋭利でない、刃こぼれ、刃先のゴミ(汚れ)
d設定 ネジ締め付けがゆるい、ナイフの逃げ角、ボードの水の高さ、送り量、切削速度
トリミングの形状
eトラブルの現象 ナイフマーク、チャター、厚さのモザイク、膨化、水引き、しわが入る
リボン状にならない、リボン状が曲がる、切片が水面上を動き回る
一枚毎に切片の厚さが大きく変化する(薄くすると連続して切れない)
4節
試料支持
Aグリッド   直径、厚さ、表と裏、メッシュ、シートメッシュ、メッシュ数、有効開口率、タブ
aグリッドの種類 銅、ニッケル、金、アルミ、炭素、ナイロン、ベリリウム、単孔メッシュ、スリットメッシュ、
ダブルグリッド、マイクログリッド
b親水化処理 切片との接着性、イオンスパッタ装置
c粘着処理 メッシュセメント、コロジオンコーティング
B支持膜   支持膜の要件、コロジオン、フォルムバール、プラスチック支持膜、カーボン膜、
プラズマ重合膜
a支持膜作製法 水面展開法(湿式法)、基盤展開法(乾式法)、スライドグラス、雲母のへき開面、
カーボン蒸着法、プラズマ重合法
bプラスチック、カーボン、プラズマ重合支持膜の比較 作製の容易さ、電子線に対する強度、表面の平滑性
c支持膜を使用する時の注意 電顕チェック、使用期限
5節
電子染色
A原理と種類   散乱コントラスト、重金属(重元素)、ポジティブ染色法、ネガティブ染色法、切片染色法、
ブロック染色法
B染色剤・染色法 a切片染色法 酢酸ウラニル、鉛塩、単染色、二重染色、核質、リボソーム、飽和度、アルコール溶解性、
遮光ビン、酸性、試料汚染、リン酸イオン、染色時間、炭酸鉛塩、脱炭酸蒸留水、
二酸化炭素、細胞膜系、グリコーゲン(顆粒)、クロマチン、リボソーム、クエン酸鉛法、
佐藤の鉛、密封、冷暗所、保存
bブロック染色 酢酸ウラニル水溶液、酢酸ウラニル・酢酸緩衝液、
酢酸ウラニル・70〜90%エタノール溶液、 0.1〜1.0%タンニン酸、微小管
cブロック染色に用いられるその他の染色剤 ルテニウムレッド、リンタングステン酸、硝酸ランタン
d染色性固定剤 四酸化オスミウム、過マンガン酸カリウム、タンニン酸
C法規 aウラン使用の申請と届け 国際規制物質、文部科学省、使用許可、計量管理規定の認可、
核燃料物質計量管理区域符号(MBA)
4章  
透過電顕試料作製法U(さまざまな試料作製法)
1節
ネガティブ染色法
A原理   酢酸ウラニル、リンタングステン酸、陰影像、ウイルス、細菌の鞭毛、蛋白質高分子、
微少な試料の微細構造
B染色剤   酢酸ウラニル(1〜4%、pH 4.0)、ギ酸ウラニル(1〜3%、pH 4.0)、
リンタングステン酸(2〜3%、pH 7.0)、モリブデン酸アンモニウム(1〜2%、pH 6.5〜7.0)
C染色法 aグリッドの処理 支持膜、300〜400メッシュのグリッド、親水化処理
bアーティファクト 支持膜のしわ、支持膜の汚れ
c電子顕微鏡の状態 鏡体内の真空度、光軸(電子線軸)調整、電圧軸調整、対物レンズ非点補正
d電子線損傷 コンタミネーション、化学変化、コールドトラップ、ビームダメージ
2節
蒸着法
A原理 a抵抗加熱法 融点、蒸発、真空蒸着装置、電極、金属粒子、金属蒸着、カーボン粒子、カーボン蒸着、
10-3パスカル、ベルジャー
b電子線加熱法 電子線、高融点金属
cイオンビームスパッタ法 イオンビーム
Bシャドウイング法 a高分子タンパク質 重金属、「影」づけ、生体高分子、グリセリン溶液、ロータリ−シャドウイング
(低角度回転蒸着)、スプレー法、白金線、雲母板、へき開面、蒸着の角度、レプリカ膜
bDNA分子 チトクロームc、展開、ロータリ−シャドウイング(低角度回転蒸着)
Cレプリカ法   蒸着法、表面構造、金属薄膜レプリカ、シャドウイング、カーボン蒸着、白金、10nm、
10-3パスカル、塩素系漂白剤
3節
凍結技法
A基礎 a目的 生きている状態に近い微細形態、物理的固定
b凍結原理 氷晶形成、再結晶化点、凍結速度、ガラス状氷、組織・細胞の含水量、微細形態の観察を
目的とした凍結条件
c冷媒 沸点、融点、液体プロパン、液体窒素、液体ヘリウム、スラッシュ窒素
d氷晶防止剤 DMSO(ジメチルスルホキシド)、ショ糖、グリセリン、エチレングリコール、氷晶防止剤
B急速凍結法 a浸漬法 最適冷媒の条件と種類、融点−沸点間温度差、長所と短所
b金属圧着法 最適冷媒の条件と種類、金属の種類、熱伝導率、長所と短所
c高圧凍結法 高圧凍結の原理と目的、長所と短所
C凍結置換法 a原理と方法 凍結置換の原理と目的、温度、置換液、試料処理手順
D凍結レプリカ法 a原理と方法 凍結レプリカ法の原理と目的、レプリカ作製、真空蒸着、試料処理手順
b凍結割断法 割断面、膜内粒子、E面、P面、凍結割断像の特徴
c凍結エッチング法 氷の昇華、膜の真表面、細胞内構造、凍結エッチング像の特徴
E凍結超薄切片法 a原理と方法 凍結超薄切片の目的と特徴、薄切、元素分析、免疫電顕法、クライオウルトラミクロトーム、
クライオチャンバー、ガラスナイフ、ダイアモンドナイフ、切片の帯電、静電気防止、
白金ループ、 低温乾燥、包埋剤
F氷包埋法 a原理と方法 氷包埋法の目的と特徴、生体高分子、ウイルスの観察、マイクログリッド、
浸漬法による急速凍結、クライオトランスファーホルダー、最適冷媒の条件と種類、
試料損傷、観察時の留意点
4節 
免疫電顕法
A原理 a基本的事項 抗原、抗体(一次抗体、二次抗体)、Fab 、標識効率、特異反応、非特異反応、偽陽性反応、
偽陰性反応、吸収試験、ブロッキング、プロテインA、アビジン、ストレプトアビジン、
ビオチン、HRP(ホ−スラディッシュ・ペルオキシダ−ゼ)、DAB(3,3'-ジアミノベ ンチジン)、
オスミウム・ブラック、コロイド金、PAP法、ABC法、LSAB法、多重標識
B固定液 a固定液の選択 アルデヒド系固定液、PLP固定液、ピクリン酸固定液(ザンボニ液)、使用濃度と抗原性保持
C包埋前染色法
(pre-embedding法)
a手技と特徴 凍結切片法、スライス標本(組織スライサ−、セクショナ−)、抗体の浸透、切片の厚さ、
Triton X-100、サポニン、試料処理手順、染色むら
D包埋後染色法
(post-embedding法)
a手技と特徴 樹脂包埋(LR White、Lowicryl K4M、エポキシ樹脂)、低温重合、紫外線重合、熱重合、
ニッケルグリッド、エッチング、抗原の露出、メタ過ヨウ素酸ナトリウム、試料処理手順
E凍結超薄切片法
(cryo-ultramicrotomy)
a手技と特徴 固定、凍結超薄切片、包埋剤(メチルセルロ−ス、ポリビニルアルコ−ル)、細胞内抗原
b長所と短所 C.D.Eそれぞれの方法の比較(特徴、検出感度)
F二重免疫染色 a原理と手技 一次抗体・二次抗体の組み合わせ、コロイド金(粒子径)、切片表裏の使用(包埋後染色法)、
包埋前染色法と包埋後染色法の組合せ
5節
細胞化学
A酵素細胞化学 a基本原理と反応基質液 酵素、基質、酵素反応、重金属(イオン)、酵素の局在、反応産物を高電子密度で検出、
反応基質液、金属塩法(金属鉛法、バリウム塩法、セリウム塩法)、フェロシアン化銅、
ジアミノベンチジン(DAB)法、テトラゾリウム塩法、アゾ色素法、インドール法、
ゴールド・チオサルフェイト法
b手技 固定条件の検討、固定法の選択、化学固定、急速凍結置換法〔4章3節凍結技法の
項参照〕、アルデヒド固定、固定と酵素活性、組織切片の作製、凍結ミクロトーム、
クライオスタット、 マイクロスライサー、ビブラトーム、ティッシュセクショナー、反応温度、
反応時間、対照実験
c酵素の種類 酸性ホスファターゼ、アルカリホスファターゼ、Na+,K+-ATPase, 5'-ヌクレオチダーゼ、
グルコース6-ホスファターゼ, チアミンピロホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、カタラーゼ、
チトクロームオキシダーゼ、コハク酸脱水素酵素
d細胞小器官の指標酵素 細胞膜、ミトコンドリア、ゴルジ装置、小胞体、ライソソーム、
ペルオキシソーム、〔第2章3節、4節の項参照〕
B糖質細胞化学 a基本原理 糖鎖の種類、複合糖質、糖タンパク質、糖脂質、レクチン法、メセナミン銀法、
ルテニウムレッド法、糖結合特異性
b方法 HRP(ペルオキシダーゼ)、コロイド金、フェリチン、コンカナバリンA(ConA)、
包埋前染色法、包埋後染色法、凍結切片染色法
C遺伝子細胞化学
(in situ hybridization)
a基本原理 mRNA、cDNA(相補的DNA)、核酸プローブ
D トレーサーの細胞化学 a基本的事項 高電子密度物質、パルスラベル
b手技 HRP, フェリチン、カチオン化フェリチン、ルテニウムレッド、硝酸ランタン、
タンニン酸、コロイド金
Eその他の細胞化学 aCa2+イオン アンチオン酸カリウム(ピロアンチモン酸カリ)法、シュウ酸法
6節
オートラジオグラフィー
A基礎的知識 aオートラジオグラフィーの概略 放射性同位元素標識化合物
b原理 原子核乳剤、金属銀
cオートラジオグラフィーの種類 不溶性物質ARG、可溶性物質ARG、マクロARG
d放射性同位元素 放射性核種、3H、14C、125I、35S、45Ca、放射線、α線、β線、γ線、ヘリウム核、電子、
X線、イオン化力、分解能(解像力)、潜像、潜像形成能、放射線の飛程、半減期
e標識化合物 巨大分子前駆物質、合成標識化合物、原子力基本法、労働安全衛生法、
放射線障害防止に関する法律
f投与法 経口投与、注射、培養液、Bq、Ci
g種々の標本作製法 不溶性物質、可溶性物質、凍結薄切、凍結乾燥、凍結置換固定、急速凍結
h写真化学の基礎知識 原子核乳剤、臭化銀、潜像、化学的カブリ、物理的カブリ
B電顕オートラジオグラフィーの実際的手技 @生物試料の固定、包埋 グルタルアルデヒド、四酸化オスミウム、合成樹脂
Aグリッド前処理 酸化防止、グリッド前処理、コロジオン
B超薄切片作製 超ミクロトーム、約100nm厚
Cグリッド付着処理 カブリ防止、カーボン蒸着
D乳剤の準備 45℃保温、乳剤希釈
E乳剤塗布 感光乳剤塗布、ワイヤーループ法、デッピング法
F露出 シリカゲル、1〜2ヶ月露出、潜像退行、水分の酸化作用、室温開封
G現像 現像、25℃4分、クエン酸鉛、ゼラチン除去、カーボン蒸着、微粒子現像法
H鏡検 臭化銀粒子径、β線エネルギー、切片厚、乳剤厚
I定量的解析 標識率、沈澱固定法、急速凍結固定法
5章
走査電顕試料作製法
1節
固定・脱水
    SEM試料の固定、化学固定、物理固定
2節
観察面の剖出
A自由表面の観察   自由表面洗浄法、表面被覆物質、超音波洗浄法
B基底面の観察   細胞間質、コラーゲン線維、弾性線維、細胞間質
a塩酸−コラゲナーゼ法 結合組織線維成分、塩酸、基底膜、コラゲナーゼ
bNaOH−コラゲナーゼ消化法 高温(60℃)、高濃度(5N NaOH、約30%)、コラーゲン線維成分、酵素消化法、
塩酸消化法、アルカリ消化法
C割断面の観察   凍結割断、エタノ−ル凍結割断法、DMSO凍結割断法(50%DMSO)、
オスミウム浸軟法(希薄(0.1%)四酸化オスミウム)、細胞基質、細胞骨格、収縮性線維
Dその他の観察面剖出法 a結合線維観察法 (アルカリ・水浸軟法) 細胞要素、弾性線維、結合線維のみの標本
bギ酸消化法 加温した高濃度のギ酸、弾性線維の立体構築
c研磨法 研磨シート
d細胞骨格観察法 細胞膜・細胞内可溶性成分除去、緩衝液ジェット流、ポリ-L-リジン、細胞膜剥離
3節
試料乾燥法
A自然乾燥 (空気乾燥)   水の表面張力、アセトン
B臨界点乾燥   臨界状態、酢酸イソアミル、液化二酸化炭素、ドライアイス、液化炭酸
C t-ブチルアルコール凍結乾燥   凝固温度(25.5℃)、昇華
  A目的   導電性、帯電(チャージアップ)、像障害、導電染色、金属コーティング
  B導電染色   四酸化オスミウム、タンニン酸、導電性、金属コーティング、導電染色
4節
導電法
C金属コーティング   二次電子の発生効率、金、白金、金パラジウム、白金パラジウム、カーボン、
抵抗加熱蒸着法、金属蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンスパッタ法、
イオンビームスパッタ法、オスミウムプラズマ重合膜法、粒状性(粒子径)、膜厚、回り込み
a粒状性 コーティング膜、金属粒子の大きさ、粒状性(粒子径)
bイオンスパッタ法の必要な知識 真空度、電圧、電流
D導電性接着剤   導電性接着剤、銀ペースト、カーボンペースト、導電性(カーボン)両面テープ
5節
その他
A血管鋳型法   血管内腔洗浄、合成樹脂(メチルメタクリレート)、動脈系、毛細血管系、静脈系、
樹脂が重合、組織を腐食、強アルカリ水
B免疫走査電顕法   免疫走査電顕法、抗原、抗体、金粒子、一次抗体標識抗体二次抗体、Protein A−金、
5〜30 nm、〔4章4節免疫電顕法の項参照〕
Cクライオ走査電顕法   クライオ走査電顕法、凍結試料、冷却試料台、氷の導電性、無蒸着観察、5〜10kV
6章
透過電顕の構造と基本操作
1節
構造と機能
A装置構成   鏡筒、電源系、真空排気系、水冷系、制御系
B光学顕微鏡との
対比
  双方の構成要素の比較(光源、レンズ、分解能など)
C電子銃   熱電子放出型、電界放出型、ヘアピン型タングステン(W)フィラメント、
ホウ化ランタン(Lab6)単結晶チップ、陽極(アノード)、陰極(カソード)、ウェーネルト電極、
バイアス電圧、輝度
D電子レンズ   磁界レンズ、電磁コイル、ヨーク、ポールピース、励磁電流、ギャップ
a照射系 ダブルコンデンサーシステム、スポットサイズ、ブライトネス調整、
非点収差補正装置(スチグマトール)、集束絞り(コンデンサー絞り)
b結像系 3段拡大系、非点収差補正装置(スチグマトール)、後焦点面、対物絞り、制限視野絞り
E試料ステージ   ゴニオメータ、トップエントリー方式、サイドエントリー方式、、試料汚染防止装置
F像観察室   蛍光スクリーン、拡大ルーペ、ビームストッパ、鉛ガラス
Gフィルムカメラ室   フィルムカセット、フィルムマガジン
2節
基本操作
Aフィラメントの機械的設定   フィラメント先端位置の設定
Bフィラメント電流の設定と軸調整   エミッション電流、フィラメント像、フィラメントの寿命
C検鏡に関する一連の基本操作 a基本要素の設定 加速電圧、倍率、スポットサイズ、軸調整、写真フィルムの感度
b絞りの軸合わせ 集束レンズ絞りの軸合わせ、対物レンズ絞りの軸合わせ、制限視野絞りの軸合わせ
c電流軸、電圧軸の調整 対物レンズワブラー、高圧ワブラー
  d非点収差の補正 集束レンズの非点収差補正、対物レンズの非点収差補正
  e焦点合わせ 正焦点(ジャストフォーカス)、不足焦点(アンダーフォーカス)、
過焦点(オーバーフォーカス)、イメージワブラー、フレネル縞、アンダーフリンジ、
オーバーフリンジ
  f写真撮影 撮影前の確認項目、撮影モード(オート、マニュアル)
3節
保守
    日常点検、保守点検、Oリングの洗浄・交換、可動絞りの清浄、フィラメント交換、
油回転ポンプのオイル補充・交換、鏡筒の焼き出し、廃液処理
7章
走査電顕の構造と基本操作
1節
構造と機能
A原理と装置構成 a一般的なSEM 二次電子、反射電子、エッジ効果、コンデンサーレンズ、対物レンズ、走査コイル、
二次電子検出器、分解能、電子線径、倍率
b低真空型SEM オリフィス、チャージアップ(帯電)、イオン化、無蒸着観察、含水試料
B電子銃 a熱電子銃 タングステンヘアピン電子銃、ウェーネルト電極、バイアス電圧、アノード電極、加速電圧
b電界放出型電子銃 タングステン単結晶チップ、トンネル効果
C電子レンズ   対物レンズ、焦点距離、焦点深度
2節
基本操作
ASEM像観察 a操作手順 試料台、試料微動装置、試料傾斜角度、作動距離、明るさ、コントラスト、軸合わせ、
非点補正、焦点合わせ、写真撮影
Bフィラメント電流 aフィラメント電流調整 フィラメント電流、エミッション電流、プローブ電流(試料照射電流)、飽和、
飽和エミッション電流、寿命
C観察条件の設定 a加速電圧 電子線径(スポットサイズ)、二次電子の発生効率、金属コーティング、高加速電圧、
高倍率観察、絶縁体、凹凸の少ない試料、低加速電圧、像質
bコンデンサーレンズ電流の調整 弱励磁、強励磁、S/N(信号/ノイズ)
c作動距離 分解能、焦点深度、収差、 浮遊磁界など外乱の影響
d対物絞り 絞りの孔径、照射角(開き角)、イメージワブラー機能、絞りの軸合わせ
D非点収差補正と
焦点合わせ
a操作手順 レンズ磁界の軸非対称、電子線通路の汚れ、不足焦点、過焦点、正焦点、像の流れ、
非点補正装置、電子線損傷
E写真撮影 a操作手順 直接露光、デジタル化、撮影時間、S/N、ステレオ写真
3節
保守
A保守 a保守手順 6章3節参照
8章
像記録法
1節
画像記録法
    写真、CCDカメラ、イメージングプレート
2節
写真処理
A基礎事項   写真特性曲線、感度、粒状性、解像度、γ(ガンマ)、階調、コントラスト、粒状性、
ハロゲン化銀
B写真処理   現像時間、現像温度、現像液、停止液、定着液に関する基礎知識、露光、感光、水洗、
乾燥、カブリ、乳剤、アルカリ性、酸性、酸化、還元、現像液・定着液の種類、水洗、
水洗促進剤、乾燥、保存法、ネガキズ、ゴミ、現像ムラ、定着不足、水洗不足
C引き伸ばし   引伸し機の種類と特徴(集光式、集散光式)、Fナンバー、印画紙の種類と特徴、
印画紙のコントラストと号数、引伸し倍率、レンズの選択、適正露光量、焦点、適正倍率、
覆い焼き、焼き込み、コントラスト、倍率計算、スケ−ル
3節
デジタル画像処理
Aイメージングプレート   蛍光体層、 レーザービーム、画素
BCCDカメラ   A-D(アナログ-デジタル)変換、デジタル電気信号
Cピクトログラフィ   解像度(ドット/インチ)
9章
電子顕微鏡の物理的基礎
1節
電子線の性質
A電子   基本粒子、負の電荷をもつ
B電界および磁界中での電子の運動   陰極、陽極、電界、加速、加速電圧、磁界、電磁偏向、静電偏向
C電子の波動性   波長、干渉、回折
a干渉現象 干渉縞、行路差(正確には「光路差」)
b回折現象 フレネル回折、フレネル縞、過焦点、不足焦点
D電子と試料の相互作用 a二次電子 一次電子(入射電子)、二次電子、二次電子放出比、表面形状(凹凸)像
b反射電子 組成像
cオージェ電子 試料表面、元素分析
d特性X線 元素分析
e陰極光 蛍光体、カソードルミネセンス
f透過電子 試料と相互作用せずにそのまま透過した電子
g弾性散乱電子 エネルギーを失わないで散乱された電子
h非弾性散乱電子 エネルギーの一部を失いながら散乱された電子
2節
電子レンズ
A電界レンズ   軸対称な電界、静電レンズ 等電位面
B磁界レンズ   軸対称な磁界、コイル、ヨーク、ポールピース(磁極片)、励磁電流、凸レンズ、像の回転
Cレンズの公式   焦点距離、1/a + 1/b = 1/f、倍率=b/a
3節
収差
    像のボケ
A回折収差   波動性、電子線の開き角、取り除けない収差
B広義の球面収差   近軸条件、ザイデルの5収差
a狭義の球面収差 電子線の開き角、対物レンズ、分解能、開口収差、球面収差係数
b歪像収差 糸巻き形、たる形、中間レンズ、投射レンズ、低倍率
C軸非対称収差(通称:非点収差)   レンズの磁界や電界の非対称、絞りの汚れ、像の流れ、非点補正装置、フレネル縞、
非晶質薄膜の粒状性
D色収差   電子の波長変化、加速電圧の変動、励磁電流の変動、試料中での電子のエネルギー損失、
色収差係数
E顕微鏡の分解能   点分解能、線分解能
4節
電子回折
    回折パターン
A結晶構造   周期配列構造、結晶格子、格子定数、結晶方位、原子面間隔
Bブラッグ条件   入射波、回折波、透過波、行路差(正確には「光路差」)
C電子回折パターンの観察   後焦点面
D電子回折パターンの特徴   単結晶、回折斑点、多結晶、リング状パターン、非晶質、ハロー状パターン
E電子回折パターンの解析   カメラ長、カメラ定数
F各種電子回折法   制限視野回折
5節
コントラスト
A透過電顕像のコントラスト a散乱コントラスト 対物絞り、試料の厚さ、密度、結晶性、原子番号、回折コントラスト、明視野像、暗視野像、
加速電圧、電子染色
  b位相コントラスト 電子波の位相、位相変化、干渉、不足焦点、過焦点、正焦点、結晶格子像、高分解能像、
フレネル縞、球面収差
B走査電顕像のコントラスト a傾斜角効果 エスケープ長、表面の凹凸
bエッジ効果 突起物、試料端
c加速電圧効果 二次電子放出率、分解能、像質
d原子番号効果 軽元素、金属、金、白金パラジウム合金
eチャージアップ効果 金属コーテイング、導電性、
6節
真空
A真空の定義   圧力、単位、mmHg(Torr)、パスカル(Pa)、気圧(atm)、バール(bar)
B真空ポンプ a油回転ポンプ 動作範囲、オイルの劣化、オイルの交換
b油拡散ポンプ 動作範囲、ヒーター、水冷、油蒸気
cターボ分子ポンプ 動作範囲、注意事項、オイルフリー
dスパッタイオンポンプ 動作範囲、注意事項、オイルフリー
C真空計 aピラニー真空計 測定原理、測定範囲
bペニング真空計 測定原理、測定範囲
D真空排気系   RPとDPを使用した簡単な真空排気系の理解
7節
試料の
汚染と損傷
A汚染 a原因 試料汚染(コンタミネーション)、残留ガス、炭化水素系ガス、回転及び拡散ポンプの油、
真空パッキング用グリース、有機溶剤、試料、写真フィルム、電子線の強度、汚染量、
照射時間
b防止策 回転及び拡散ポンプの油の交換、試料汚染防止装置、写真フィルムの予備乾燥、
試料の乾燥
B電子線損傷 a試料の構造・組織の変化 試料温度の上昇、イオン化、分解、低分子量化、蒸発、非晶化、組織の破壊
b損傷を低減するため対策 電子線照射量の低減、試料の冷却、高い加速電圧での観察、試料中の水分の固定
10章  
周辺装置、関連装置
1節
元素分析装置
Aエネルギー分散型X線分析装置(EDS) a原理 特性X線、シリコン半導体検出器
B波長分散型X線分析装置(WDS) a原理 分光結晶、ブラッグ条件
CEDSとWDS a比較 分析感度、エネルギー分解能、検出限界
2節
走査透過電顕(STEM)
    明視野像、暗視野像
3節
共焦点レーザー顕微鏡
A原理   ボケ、ピンホール、焦点面、焦点深度、蛍光顕微鏡
Bレーザー光源   アルゴンレーザー、ヘリウム・ネオンレーザー、クリプトン・アルゴンレーザー、
半導体レーザー
C光学系   レーザー光源、ダイクロイックミラー、励起光、蛍光、光電子増倍管(フォトマルチプライヤー)、ピンホール、X-Yスキャナー、ボケ、焦点深度
D三次元構造解析への応用   光学的断層像(スライス像)、三次元構造、プロジェクション像
4節
走査プローブ顕微鏡
A原理 a走査プローブ顕微鏡 探針(プローブ)、トンネル電流、原子間力
B構造 a原子間力顕微鏡 相互間力(原子間力)、カンチレバー、ピエゾ素子、コンタクトモード、共振モード
C特徴   空気中観察、液中観察、分解能
D種類   原子間力顕微鏡、走査トンネル顕微鏡、摩擦力顕微鏡、磁気力顕微鏡、
走査型近接場光学顕微鏡

電顕入門ガイドブック参考図書

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