学会活動
技術認定試験
過去の認定試験問題
電子顕微鏡技術認定試験問題
2001年度 電子顕微鏡技術認定試験問題(一般生物)
- 問1.核の構造について正しいのはどれか.
- A.すべての真核生物の核膜は分裂期に一時的に消失する
B.ヘテロクロマチンは濃くみえる
C.核ラミナは核小体の周辺に存在している
D.核膜孔複合体の外径は約100 nmである
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問2.正しいのはどれか.
- A.ゴルジ装置は細胞間接着装置の一つである
B.粗面小胞体はタンパク質合成に関与している
C.ミトコンドリアのクリステは内膜の折れ込みによって形成される
D.滑面小胞体とミトコンドリアは連続している
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問3.リボソームを内在する細胞小器官はどれか.
- A.葉緑体
B.ライソソーム
C.ミトコンドリア
D.ペルオキシソーム
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問4.膜に包まれていないのはどれか.
- A.ペルオキシソーム
B.脂肪滴
C.ライソソーム
D.リボソーム
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問5.グルタルアルデヒドについて正しいのはどれか.
- A.分子量は約100である
B.側鎖に1個のアルデヒド基を持つ
C.タンパク質を架橋する
D.精製直後の紫外線吸収スペクトルのピークは約235 nmにある
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問6.四酸化オスミウムについて正しいのはどれか.
- A.リン脂質を良く固定する
B.オスミウムの原子番号は18である
C.結晶は室温で蒸留水100 mlに約20g溶解する
D.電子染色効果を持つ
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問7.還元剤はどれか.
- A.ホルムアルデヒド
B.四酸化オスミウム
C.グルタルアルデヒド
D.過マンガン酸カリウム
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問8.動物組織の固定について正しいのを一つ選べ.
- 1.哺乳動物の組織固定液のpHは7.0以下にすると良い
2.哺乳動物に使用される組織固定液は一般に動物体液の浸透圧(約300
mOsm)よりやや高めに調製する
3.グルタルアルデヒドの組織への浸透性はホルムアルデヒドより優れている
4.四酸化オスミウムは濃度が低いほど組織に浸透しやすくなる
5.過マンガン酸カリウム固定液は組織への浸透性が良い
- 問9.脱水について正しいのはどれか.
- A.脱水中に最も溶出しやすいのはタンパク質である
B.分子量が大きい脱水剤ほど脱水がはやい
C.脱水中にブロック染色すると脂質は溶出しにくくなる
D.室温より低温でおこなう方が細胞成分は溶出しにくい
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問10.エポキシ樹脂包埋(Luft法)で硬さの調節に用いられるものはどれか.
- A.Epon 812
B.MNA
C.DMP-30
D.DDSA
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問11.酸素によって重合が阻害される樹脂はどれか.
- A.ロイクリルK4M(Lowicryl K4M)
B.アラルダイト(Araldite)
C.クエトール(Quetol)
D.LRホワイト(LR White)
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問12.包埋用樹脂について正しいのを一つ選べ.
- 1.スパー(Spurr)樹脂は免疫染色性が良い
2.重合加速剤DMP-30は長期保存できる
3.ロイクリルK4M(Lowicryl K4M)は免疫染色性が良い
4.アラルダイト(Araldite)は組織への浸透性が良い
5.ドゥルクパン(Durcupan)は組織への浸透性が良い
- 問13.超薄切片を干渉色でみたとき厚い方から順に並んでいるのを一つ選べ.
- 1.青,紫,金,銀,灰
2.金,紫,銀,青,灰
3.金,紫,青,銀,灰
4.青,金,銀,灰,紫
5.紫,青,金,銀,灰
- 問14.超薄切片にチャターが起こる原因として考えられるのはどれか.
- A.試料ブロックに気泡がある
B.薄切面が大きい
C.ナイフの刃角及び逃げ角が小さい
D.切削速度がはやい
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問15.超薄切片作製時、切削方向に一致して切片にキズが入る原因はどれか.
- A.切削速度が遅い
B.刃先にキズがある
C.刃先にゴミが付着している
D.逃げ角が大きい
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問16.ミクロトーム室として適切な環境はどれか.
- A.湿度が高い
B.埃が少ない
C.空気流が強い
D.振動が少ない
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問17.超薄切片が連続してリボン状に切れない原因はどれか.
- A.薄切にガラスナイフを用いた
B.ナイフエッジが部分的に鈍い
C.試料の上下端がナイフエッジに対して平行でない
D.試料を水溶性樹脂に包埋した
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問18.電子染色について正しいのはどれか.
- A.酢酸ウラニル水溶液はアルカリ性である
B.酢酸ウラニル水溶液はリン酸緩衝液と混ぜると沈殿を生じる
C.クエン酸鉛水溶液は中性である
D.クエン酸鉛水溶液は二酸化炭素に触れると沈殿を生じる
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問19.酢酸ウラニルを用いるネガティブ染色法について正しいのはどれか.
- A.染色液のpHが適正であれば,どのような試料でも良いネガティブ染色像が得られる
B.通常10%アルコール溶液を用いる
C.酢酸ウラニルの濃度が低いとポジティブ像になる傾向がある
D.高濃度のショ糖が含まれている試料では良いネガティブ染色効果が得られにくい
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問20.光顕観察用のトルイジンブルー染色をおこなう際に正しいのはどれか.
- A.通常0.5〜1μmの厚さの切片を用いる
B.脱樹脂をしなければ染まらない
C.0.1〜1.0%溶液を用いる
D.染色液を強酸性にすると良く染まる
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問21.透過電子顕微鏡の操作について正しいのはどれか.
- A.低倍率では非点収差を補正しても像質は変わらない
B.高分解能を得るために電圧中心を合わせる
C.写真撮影する時は常に正焦点(ジャストフォーカス)に合わせる
D.対物絞りの径を小さくすると像のコントラストは高くなる
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問22.倍率15万倍の電顕写真に100 nmのスケールを入れるには長さを何mmにすればよいか.解答欄に数値を記せ.
- 問23.写真処理について正しいのはどれか.
- A.現像中は現像液を攪拌しないように印画紙を静置しておく
B.印画紙のハロゲン化銀は光を吸収すると(中性)銀原子の潜像を生じる
C.定着は未現像のハロゲン化銀を水溶性の錯塩に変える処理である
D.フィルムの感光膜が透明になった時点で定着は完了している
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問24.電顕組織化学的にペルオキシダーゼ活性を検出する際に用いる試薬はどれか.
- A.過酸化水素
B.ニトロブルー・テトラゾリウム
C.3,3'−ジアミノベンチジン
D.過ヨウ素酸
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問25.細胞構造とその指標となる酵素の組合せで正しいのはどれか.
- A.チトクロームオキシダーゼ−−−形質膜
B.カタラーゼ−−−−−−−−−−ペルオキシソーム
C.チアミンピロフォスファターゼ−−ゴルジ装置
D.酸性フォスファターゼ−−−−−ミトコンドリア
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問26.細胞表面の陰性電荷を電顕的に検出するのに用いるのはどれか.
- A.カチオン化フェリチン
B.タンニン酸
C.ルテニウムレッド
D.コンカナバリンA
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問27.物質を同定する方法で正しいのはどれか.
- A.タンパク質には抗体を用いた免疫電顕法
B.核酸には核酸プローブを用いた in situ hybridization法
C.糖類にはプロテインAを用いたオートラジオグラフ法
D.脂質には四酸化オスミウムを用いたフリーズレプリカ法
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問28.包埋後染色法(post-embedding法)に対して包埋前染色法(pre-embedding法)の長所はどれか.
- A.細胞小器官の抗原性保持に優れている
B.細胞の微細構造の保持に優れている
C.同じ構造における二重標識が可能である
D.固定・包埋の操作の制約が少ない
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問29.急速凍結置換固定について正しいのはどれか.
- A.置換をおこなう温度は通常−80°Cである
B.凍結置換剤にはアセトンがよく用いられる
C.置換後の試料は樹脂の浸透が容易である
D.氷晶が形成されても膜構造が壊れることはない
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問30.フリーズエッチング法について正しいのはどれか.
- A.グリセリン処理した生物試料を使用すると良い
B.細胞内膜系および骨格構造の観察が容易である
C.レプリカ膜は白金蒸着のみで炭素の補強は必要ない
D.生体膜の親水性表面を観察しやすい
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問31.電顕オートラジオグラフィーで正しいのはどれか.
- A.放射性同位元素(RI)としてトリチウム 3Hが良く使われる
B.動物にRIを投与するのは密封線源実験である
C.原子核乳剤はハロゲン化銀が一層になるように超薄切片に塗布する
D.露出後の乳剤は切片から剥がしグリッドにはった支持膜に載せて現像する
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問32.走査電顕の試料作製について正しいのはどれか.
- A.粘膜表面の粘液等はしばしばチャージアップの原因となる
B.表面張力の影響を避けるには自然乾燥が適している
C.タンニン酸導電染色法では金属コーティングを省略できる
D.白金など融点の高い金属はコーティングの粒子径が大きい
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問33.走査電顕で小腸絨毛上皮を観察したい.適切なのを一つ選べ.
- 1.小腸を切りだして直ちに固定する
2.灌流固定後、小腸を切り出し再固定する
3.小腸を摘出後,絨毛上皮を生理食塩水で洗浄してから固定する
4.灌流固定後、絨毛上皮を生理食塩水で洗浄してから再固定する
5.切り出した小腸を固定後、絨毛上皮を生理食塩水で洗浄する
- 問34.免疫走査電顕の試料作製で正しいのはどれか.
- A.一般的に用いられている金コロイド粒子の大きさは5 nmである
B.金コロイド粒子の観察には反射電子像を用いる
C.組織を観察するときは白金パラジウムをごく薄くコーティングしてもよい
D.組織と金コロイド粒子を同時観察するには高加速電圧の二次電子を用いる
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問35.走査電顕像の像質を滑らかにしたいとき正しいのはどれか.
- A.スキャンスピード(走査速度)を遅くする
B.加速電圧を低くする
C.スポットサイズを小さくする
D.対物絞り径を大きくする
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問36.試料に電子線を照射した場合正しいのはどれか.
- A.反射電子は入射電子よりも大きなエネルギーをもつ
B.約50eV以下のエネルギーをもつ電子を二次電子という
C.電子の反射は原子番号の大きな試料ほど大きい
D.エネルギーを失わずに散乱した電子を非弾性散乱電子という
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問37.タングステンヘアピンフィラメント電子銃について正しいのはどれか.
- A.加速電圧を高くすると電子線の波長は長くなる
B.加熱して電子を放出させる
C.エミッション電流はフィラメント電流に比例する
D.真空度はフィラメントの寿命に影響する
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問38.透過電子顕微鏡における対物レンズの収差について正しいのはどれか.
- A.絞りの汚れは非点収差の原因となる
B.絞りを小さくするほど球面収差は大きくなる
C.試料が厚いほど色収差は大きくなる
D.イメージワブラーは収差補正法の一つである
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問39.対物レンズの収差について正しいのはどれか.
- A.レンズ作用が軸対称でないと非点収差を生じる
B.レンズ内で電子は光軸から離れるほど弱く曲げられるために球面収差を生じる
C.加速電圧が変動すると色収差を生じる
D.対物レンズの性能は非点収差で決まる
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問40.透過電子顕微鏡の各レンズについて正しいのはどれか.
- A.照射系レンズの強さを変化させると拡大像は回転する
B.拡大像の焦点合わせには対物レンズを調節する
C.倍率を変化させるには中間レンズを調節する
D.明るさは投射レンズで調節する
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問41.支持膜の選択で適しているのはどれか.
- A.2万倍程度の観察には厚いプラスチック膜
B.2万倍程度の観察にはカーボン補強したプラスチック薄膜
C.10万倍以上の観察には200メッシュグリッドにのせたカーボン膜
D.10万倍以上の観察にはマイクログリッドにのせたカーボン薄膜
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問42.油回転ポンプ(RP)と油拡散ポンプ(DP)について正しいのはどれか.
- A.RP油が劣化するとDPの排気能力が低下する
B.DP油の劣化が進むと試料のコンタミネーションが増加する
C.DPの性能低下は到達真空度だけで判断できる
D.DPの排気速度が低下したら冷却水を増加すれば良い
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問43.透過電顕像のコントラストについて正しいのはどれか.
- A.加速電圧を高くすれば散乱コントラストは高くなる
B.対物可動絞りを小さくすれば散乱コントラストは高くなる
C.電子染色の主な目的は位相コントラストを高めることである
D.位相コントラストは対物レンズのデフォーカス(焦点はずれ)量に強く依存する
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問44.生物切片試料の電子線損傷について正しいのはどれか.
- A.一般に加速電圧を高くすると損傷は減少する
B.試料は電子染色により損傷を受けやすくなる
C.集束可動絞りを大きくするほど損傷は減少する
D.試料の冷却は損傷の減少に有効である
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問45.磁界レンズについて正しいのはどれか.
- A.励磁電流を増やすと焦点距離は短くなる
B.励磁電流を減らすと焦点距離は短くなる
C.励磁電流を変えると像は回転する
D.励磁電流を変えても像は回転しない
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問46.走査電顕像について正しいのはどれか.
- A.表面の凹凸が小さい試料は金属コーティング量を多くするとコントラストが良くなる
B.表面の凹凸が小さい試料は試料台を傾斜させると表面構造が見やすくなる
C.表面の凹凸が大きい試料の金属コーティングにはイオンスパッタ法が適している
D.表面の凹凸が大きい試料のチャージアップを防ぐには金属コーティング量を少なくする方が良い.
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問47.写真特性曲線について正しいのはどれか.
- A.直線部の傾きからコントラストの良し悪しを判断できる
B.特性は現像条件に依存しない
C.感度を表す目安として使用できる
D.縦軸に濃度、横軸に銀粒子密度をとって表示されている
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問48.ネガの引き伸ばしについて正しいのはどれか.
- A.拡大率をより大きくするには焦点距離のより長いレンズを使用する
B.レンズの焦点距離を短くするほど,引き伸ばしできる領域は狭くなる
C.肉眼での焦点あわせで十分である
D.レンズの絞り値(F値)が小さいほど像は明るくなる
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問49.走査電子顕微鏡における加速電圧の選択で正しいのはどれか.
- A.チャージアップを軽減するには低くする
B.試料の内部情報を得るには20kVから2kVにする
C.反射電子像を得るには低くする
D.高分解能像を得るには高くする
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問50.走査電顕像のコントラストを高める操作で正しいのはどれか.
- A.加速電圧を高くする
B.試料傾斜角を大きくする
C.照射電流を増加させる
D.作動距離を短くする
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
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