学会活動
技術認定試験
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電子顕微鏡技術認定試験問題
2001年度 電子顕微鏡技術認定試験問題 特殊技術 I (生物)
12題の問題のうち問1〜問6は必須問題,問7〜問12は選択問題である.
問1〜問6はすべて解答し,問7〜問12はその中から4問を選んで解答せよ.なお,選択しなかった問の解答欄には大きく×印を記入せよ. |
- 【必須問題】
- 問1.固定について,次の[ ]の中に適切な語句を入れよ.
- 試料により,固定液の種類や緩衝液の種類を選択することが大切である.過マンガン酸カリウムは[1] ]の保存には適しているが、[2] ]を固定しない.グルタルアルデヒド固定では細胞質の基質がよく[3] ]される.四酸化オスミウムの単独固定では基質が溶出する傾向がある.カコジル酸緩衝液を使用すると細胞内の[4] ]が抜けた像となる傾向がある.また,固定の際には試料の浸透圧を考慮することが重要である。哺乳動物細胞の浸透圧は[5] ]mOsm程度であり、最終濃度の固定液の浸透圧は,この値よりやや高めに調整する.
- 問2.エポキシ系樹脂包埋について,次の[ ]の中に適切な語句を入れよ.
- エポキシ系樹脂包埋の代表格であるEpon812包埋では,Epon812と硬化剤である[1] ],MNAの適量の混合液に加速剤[2] ]を正確に計算し,加えることが必要である.加速剤を過剰に加えると硬化時間が[3] ]くなり,硬化物には亀裂が入りやすく,[4) ]に適さなくなる.加速剤が不足している場合には,硬化時間が[5) ]くなり,樹脂混合液が硬化しない場合もある.
- 問3.アクリル系樹脂包埋ブロックから包埋後染色法(post-embedding法)用の超薄切片を作製する際の留意点を述べよ.(10点)
- 問4.ネガティブ染色法の特徴を述べよ.また,実際の手順を詳しく記せ.
- 問5.次の文章を読み、各設問に答えよ.(10点)
- 血液細胞の形質膜に存在するタンパク質の細胞外領域を認識する抗体を用いて,このタンパク質の分布を免疫電顕的に検出する場合,[ (1) ]法(徳安法),包埋前染色法(pre-embedding法)および包埋後染色法(post-embedding法)を試すことができる.
1)[ (1) ]の名称とその方法の手順を述べよ.
2)これらの方法以外に免疫走査電顕法を利用できるかできないかを,その理由とともに述べよ.
- 問6.走査電子顕微鏡で生物試料を観察する場合,加速電圧,コンデンサー電流,対物絞り,作動距離(working
distance)の選択は重要である.それぞれについて分解能,像質,焦点深度への影響について主要な点を箇条書きで述べよ.
- 【選択問題】
- <動物問題>
- 問7.ラット中枢神経細胞を純形態学的に透過電顕で観察するために,灌流固定をおこないたい.固定液,器具など必要なものはすべて用意されているとして,灌流固定の手順を説明せよ.
- 問8.小腸上皮細胞のゴルジ装置の膜に局在する抗原を,包埋前染色法(
pre-embedding法)を用いた免疫電顕で調べたい.この際の操作にあたり,以下の項目について説明せよ.
- 項目:固定,前処理,染色法と染色操作,包埋,電子染色,観察
- 問9.高等植物の成熟細胞は大きな液胞によって占められている.このような細胞を固定するとき注意すべきことは細胞の浸透圧に対する前固定液の浸透圧調整である.次の各設問に答えよ.
- 1)用いる植物細胞の浸透圧を求める方法の一例を記せ.
2)0.2モル濃度のリン酸緩衝液,70%グルタルアルデヒド(分子量:100)溶液を用いて,約0.3 モル濃度の浸透圧を持つ3.5%グルタルアルデヒド固定液を作る処法を記せ.
0.2Mリン酸緩衝液 ml
70%グルタルアルデヒド ml
蒸留水(DW) 8.5 ml
- 問10.下の写真はキュウリ発芽時の根端分裂組織の細胞を透過電子顕微鏡で観察したものである.次の各設問に答えよ.
- 1)記号*の細胞小器官の名称を記せ.
2)1)の細胞小器官は分化・発達した植物組織内で,それぞれの組織に特徴的な異なった形態を有する細胞小器官に発達していく.どのような組織で,どのような特徴をもつ,何と呼ばれる細胞小器官に発達するのか,具体的な例を2つあげて説明せよ.
3)写真が分裂組織の細胞であることを示す形態的な特徴を(記号*の構造以外に)1つあげ,成長した植物細胞の具体例との違いを説明せよ.
- <微生物問題>
- 問11.鞭毛をもつ細菌の全体像を得るための適切な方法を次の中から2つ選び,その特徴と操作手順を簡単に述べよ.
- 1.ネガティブ染色法
2.金属シャドーイング法
3.超薄切片法
4.走査電顕法
- 問12.下の写真は納豆菌(Bacillus natto)集落の走査電顕観察像を示している.次の各設問に答えよ.
- 1)細菌の集落や配列を走査電顕観察する際によく用いられる培養方法とその利点,留意点を記せ.また試料作製手順を述べよ.
2)写真1〜3は納豆菌集落の部分拡大を示している.それぞれは集落に示したA, B, Cのいずれの部位に対応するか.
また,集落の部位によって菌の形状が異なって観察される理由を述べよ.
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