歴史的な位相差顕微鏡が科学博物館に展示されました

団ジーン博士、団勝磨博士が持っておられたBausch & Lomb社の位相差顕微鏡は
これまで東京大学三崎臨海実験所で展示していましたが、昨年、上野の国立科学
博物館に移動し、本年3月から常設展示されました。

団夫妻は1936年にフィラデルフィアで結婚され、しばらく三崎臨海実験所で研究されて
いましたが、日米戦争がはじまり、研究は停止されます。
戦後1947年に、ジーン博士は10年ぶりにアメリカに一時帰国しましたが、その時、
アメリカのボシュ&ロム社が位相差顕微鏡のアメリカ第1号機を開発していました。
アメリカの研究者たちが、ジーン博士にこの顕微鏡を勝磨博士への土産として持って
帰ることを強く勧め、ジーン博士はアメリカ哲学協会会長の援助を得て購入し、
1948年に日本に持ち帰りました。
ところが勝磨博士はジーン博士に自分で使うように強く勧めました。そこでジーン博士は
この顕微鏡を使って、1950-54年にウニ、ヒトデなど海産動物の精子の先体反応を発見しました。

一方、この位相差顕微鏡は当時、位相差顕微鏡の製作を試みていた我が国の顕微鏡メーカーの
唯一の完成品モデルとなりました。各メーカーの技術者が三崎臨海実験所を訪れてこの顕微鏡を
調べたということです。
この歴史的な顕微鏡は国立科学博物館日本館で展示されています。
機会がありましたら是非ご覧になっていただきたいと思います。