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技術認定試験
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電子顕微鏡技術認定試験問題
2002年度 電子顕微鏡技術認定試験問題(一般生物)
- 問1.電子顕微鏡で得られた細胞の切片写真では細胞膜が三層構造として観察される.この三層を外側から順に,外層,中層,内層と呼ぶことにする.次のうち正しいのはどれか.
- A.中層は他の層に比べて明るくみえる
B.外層は脂質の親水性末端である
C.細胞膜は蛋白質二重層である
D.細胞膜は脂質三重層である
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問2.直径のサイズについて正しいのはどれか.
- A.中間径線維は約10 nmである
B.リボソームは約15 nmである
C.核膜孔は約30 nmである
D.微小管は約25 nmである
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問3.細胞小器官について正しいのはどれか.
- A.ペルオキシソームには過酸化水素分解酵素が含まれている
B.滑面小胞体はタンパク質合成の場である
C.ゴルジ装置ではATPが産生される
D.ミトコンドリアにはDNAが存在する
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問4.ミトコンドリアについて正しいのはどれか.
- A.ミトコンドリアは二重の膜構造で囲まれている
B.クリステにはクエン酸回路の酵素が含まれている
C.マトリックス(基質)には酸化的リン酸化酵素が含まれている
D.クリステには電子伝達系の酵素が含まれている
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問5.固定液として混合使用できる組み合わせはどれか.
- A.アルデヒド系固定剤とトリス緩衝液
B.グルタルアルデヒドとタンニン酸
C.四酸化オスミウムとタンニン酸
D.四酸化オスミウムとカコジル酸緩衝液
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問6.グルタルアルデヒドについて正しいのはどれか.
- A.精製直後の紫外線吸収スペクトルのピークは約280nmにある
B.パラホルムアルデヒドより組織への浸透が良い
C.脂質を良く固定する
D.側鎖に2個のアルデヒド基をもつ
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問7.ODO法で用いられるのはどれか.
- A.グルタルアルデヒド
B.パラホルムアルデヒド
C.四酸化オスミウム
D.ジメチルスルホキシド
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問8.パラホルムアルデヒドについて正しいのはどれか.
- A.溶液で長期保存できる
B.常温で溶けにくい
C.側鎖に2個のアルデヒド基をもつ
D.グルタルアルデヒドより組織への浸透性が良い
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問9.四酸化オスミウムについて正しいのはどれか.
- A.結晶は黒色をしている
B.常温で固定した方が良い
C.酸化剤である
D.リン脂質を良く固定する
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問10.Luft法で調製したエポキシ樹脂について正しいのはどれか.
- A.室温では時間の経過にともない粘度が上昇する
B.冷蔵庫に入れておけば粘度は変化しない
C.凍結しておけば粘度の上昇は抑制できる
D.調製後は吸湿性がなくなる
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問11.免疫染色性の良い包埋樹脂はどれか.
- A.エポン812(Epon 812)
B.LRホワイト(LR White)
C.スパー樹脂(Spurr 樹脂)
D.ロイクリルK4M(Lowicryl K4M)
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問12.脱水について正しいのはどれか.
- A.室温ではなるべく時間をかけておこなう方が良い
B.脱水中に試料から最も溶出しやすいのはタンパク質である
C.分子量の小さい脱水剤ほど脱水がはやい
D.低濃度アルコール(30〜70%)脱水は低温でおこなう方が良い
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問13.樹脂切片は干渉色によっておよその厚さを知ることができる.薄い方から順に並んでいるのはどれか.
- 1.金銀灰紫黄青緑
2.銀灰黄金青緑紫
3.銀金黄青灰緑紫
4.灰銀金緑青紫黄
5.灰銀金紫青緑黄
- 問14.超薄切片にチャターが起こる原因はどれか.
- A.ナイフの逃げ角が小さい
B.薄切面が大きい
C.ナイフの刃角が小さい
D.切削速度がはやい
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問15.ダイヤモンドナイフについて正しいのはどれか.
- A.刃先にはできる限り触れないようにする
B.アセトン液につけて洗浄する
C.ガラスナイフで試料面を平滑にしてから用いる
D.ナイフの逃げ角は通常 10°に設定する
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問16.グリッドと試料支持膜または切片との接着性を高めるために有効な処理はどれか.
- A.グリッドにカーボン蒸着する
B.グロー放電によりグリッドの表面を処理する
C.グリッドを温める
D.ネオプレンゴムのトルエン溶液をグリッドに滴下する
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問17.薄切時に切片によって厚さが変わるとき,その原因として考えられるのはどれか.
- A.ボート液のメニスカスの位置が高い
B.室温の変動がある
C.逃げ角が小さい
D.ナイフの締め付けがゆるい
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問18.ネガティブ染色で使用されているのはどれか.
- A.鉛
B.酢酸ウラニル
C.リンタングステン酸
D.四酸化オスミウム
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問19.エポキシ樹脂切片をトルイジンブルー染色する際に正しいのはどれか.
- A.濃度約5%のトルイジンブルーで染色する
B.切片は約0.5μm厚に薄切する
C.切片を加温染色する
D.切片を脱樹脂して染色する
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問20.超薄切片観察時に生じたドリフトの対策で正しいのはどれか.
- A.加速電圧を下げる
B.集束絞りを大きくする
C.弱い電子線をしばらく照射する
D.試料に薄くカーボンを蒸着する
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問21.電子染色について正しいのはどれか.
- A.酢酸ウラニルは蒸留水またはメタノールに溶かして染色液とする
B.リンタングステン酸染色は弾性線維の染色のために用いられる
C.二重染色をおこなう際は酢酸ウラニル染色の後に鉛染色をおこなうのが一般的である
D.鉛は緩衝液に溶かして染色液とする
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問22.電子顕微鏡で撮影したフィルムをプリント(焼き付け)するときの正しい作業手順はどれか.
- 1.引伸機で露光→現像→定着→停止→水洗→乾燥
2.引伸機で露光→水洗→現像→停止→水洗→乾燥
3.引伸機で露光→定着→水洗→現像→停止→水洗→乾燥
4.引伸機で露光→停止→定着→水洗→現像→水洗→乾燥
5.引伸機で露光→現像→停止→定着→水洗→乾燥
- 問23.最終的に12,000倍に引き伸ばした印画紙上で18mmの長さに観察された構造物の実際の長さはいくらか.単位をつけて解答せよ.
- 問24.細胞小器官と指標酵素の組み合わせで正しいのはどれか.
- A.チアミンピロフォスファターゼとゴルジ装置
B.5'ヌクレオチダーゼとミトコンドリア
C.酸性フォスファターゼと小胞体
D.カタラーゼとペルオキシソーム
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問25.電顕レベルでの糖の検出に良く用いられる方法はどれか.
- A.クエン酸鉛法
B.レクチン法
C.メセナミン銀法
D.DAB(ジアミノベンチジン)反応
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問26.凍結超薄切片法を用いた免疫電顕法について正しいのはどれか.
- A.氷晶防止のためにショ糖液に浸漬した後、試料を凍結させる
B.包埋後染色法に比べて検出感度が高い
C.大きさの異なるコロイド金粒子を用いて切片の表裏を別々に染色することで二重標識をおこなうことができる
D.凍結超薄切片の作製は約−30℃でおこなう
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問27.免疫電顕法の包埋後染色法(post-embedding法)について正しいのはどれか.
- 1.エポキシ樹脂は低温重合樹脂より抗原性保持が良い
2.標識に用いる金粒子のサイズが大きいほど検出効率が高い
3.細胞膜表面の抗原検出に適する
4.ペルオキシダーゼ標識法が主に使われる
5.同じ構造体に二重標識が可能である
- 問28.超薄切片をニッケルグリッドに載せた後に抗原Xの細胞内局在を検出したい.手順として正しいのはどれか.
- A.グルタルアルデヒド固定
B.電子染色
C.ウシ血清アルブミン処理
D.コロイド金標識抗ウサギIgG反応
E.ウサギ抗X抗体反応
1.CEDAB 2.CAEBD 3.DEACB 4.ACEDB 5.BDEAC
- 問29.急速凍結法と凍結技法の組み合わせで不適当なのはどれか.
- 1.金属圧着法 − 凍結割断レプリカ法
2.浸漬法 − 凍結超薄切片法
3.浸漬法 − 凍結置換法
4.金属圧着法 − 氷包埋法
5.浸漬法 − 凍結エッチングレプリカ法
- 問30.フリーズ・フラクチャー法について正しいのはどれか.
- A.膜内粒子は膜のP面よりE面の方が少なく観察される
B.組織の溶解には中性洗剤が用いられる
C.蒸着物質として通常白金とカーボンを使用する
D.蒸着時の試料温度は約−80℃でおこなうと良い結果が得られる
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問31.電顕オートラジオグラフィーについて正しいのはどれか.
- A.エネルギーの強いβ線を出すラジオアイソトープでは分解能が高い
B.乳剤は60℃くらいの緩衝液中で十分に撹拌して溶かす
C.鉛染色中に現像銀粒子の移動や流出が起こることがある
D.露出中の試料保存箱内のシリカゲルは交換する方が良い
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問32.走査電顕試料の乾燥法について正しいのはどれか.
- A.臨界点乾燥には液化二酸化炭素の代わりにドライアイスを用いても良い
B.酢酸イソアミルは臨界点乾燥の前処理に用いられる
C.t-ブチルアルコール乾燥法では脱水操作は不要である
D.臨界点乾燥法では試料の収縮は起こらない
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問33.走査電顕ステレオ撮影で正しいのはどれか.
- A.反射電子像と二次電子像をそれぞれ撮影した
B.試料を回転してそれぞれの写真を撮影した
C.試料を傾斜して角度の違う写真を撮影した
D.試料を水平に移動してそれぞれの写真を撮影した
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問34.走査電顕観察で加速電圧を下げたときの効果として正しいのはどれか.
- A.エッジ効果が減少する
B.焦点深度が深くなる
C.試料ダメージが軽減する
D.試料内部の情報が得られる
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問35.走査電顕観察について正しいのはどれか.
- A.凹凸の著しい試料を低倍率で観察するときは作動距離(working distance)を長くしたほうが良い
B.分解能は加速電圧が低いほど高くなる
C.焦点合わせは試料と検出器との距離を変えることによっておこなう
D.生物試料の表面を金属コーティングすると導電性が良くなる
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問36.顕微鏡の分解能について正しいのはどれか.
- A.照射の開き角が小さいほど良くなる
B.波長が短いほど良くなる
C.対物レンズの球面収差に依存しない
D.光源の種類に関係する
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問37.電子銃について正しいのはどれか.
- A.ランタンヘキサボライト(LaB6)電子銃では強い電界の作用で電子を放出させる
B.タングステンヘアピン型フィラメントを用いる電子銃は熱電子放出型電子銃である
C.バイアス電圧を変えると照射電流密度が変化する
D.熱電子放出型電子銃ではフィラメント電流を出来るだけ大きく設定する
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問38.透過電子顕微鏡の磁界型電子レンズについて正しいのはどれか.
- A.励磁電流を変化させると像は光軸の周りに回転する
B.励磁電流の極性を変えることで凹レンズ作用を持たせることができる
C.レンズ作用を安定させるために冷却水を流す
D.ポールピースは磁場の変動を抑制するために用いる
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問39.対物レンズの非点収差の発生原因として正しいのはどれか.
- A.加速電圧の変動
B.レンズ電流の変動
C.レンズ磁界の軸対称性からのズレ
D.絞りの汚れ
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問40.対物レンズの収差について正しいのはどれか.
- A.球面収差は絞りを大きくするほど小さくなる
B.球面収差は電子顕微鏡の分解能に強く影響する
C.色収差は試料が厚いほど小さくなる
D.非点収差は補正できる
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問41.透過電顕像のコントラストを高める操作で正しいのはどれか.
- A.加速電圧を下げる
B.小さな孔径の対物絞りを用いる
C.電子線を集束して明るくする
D.試料にカーボン蒸着を施す
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問42.走査電顕像のコントラストを高める操作で正しいのはどれか.
- A.試料を傾斜させる
B.加速電圧を下げる
C.作動距離(working distance)を短くする
D.対物絞りの孔径を小さくする
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問43.透過電顕観察中の試料汚染を防止する方法として正しいのはどれか.
- A.加速電圧を低くする
B.照射電流密度を低くする
C.コールドフィンガーなどの冷却装置を取り付ける
D.対物絞りを洗浄する
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問44.写真処理について正しいのはどれか.
- A.露光不足のときはコントラストが低い
B.停止液が疲労していると現像ムラができることがある
C.カブリはコントラストに影響しない
D.定着時間はどんなに長くても良い
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問45.写真の引き伸ばしと現像について正しいのはどれか.
- A.レンズと印画紙の距離が一定の場合には引き伸ばし倍率は焦点距離の長いレンズほど大きい
B.レンズと印画紙の距離を長くすると引き伸ばし倍率は大きくなる
C.印画紙の号数はコントラストの違いを表す
D.通常現像液の温度を約10℃にする
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問46.共焦点レーザ顕微鏡について正しいのはどれか.
- A.暗視野像を得ることができない
B.断層像を得ることができる
C.液体中の試料も観察できる
D.走査画像を得ることができない
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問47.エネルギー分散型X線分光法(EDS)について正しいのはどれか.
- A.試料照射電流が大きいほど高い分析精度が得られる
B.多元素の同時分析が可能である
C.波長分散型X線分光法(WDS)に比べてエネルギー分解能が高い
D.検出限界は0.1〜1重量パーセントである
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問48.波長分散型X線分光法(WDS)がエネルギー分散型X線分光法(EDS)より優れている点について正しいのはどれか.
- A.検出感度
B.分析所要時間
C.エネルギー分解能
D.検出限界
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問49.走査電子顕微鏡における加速電圧の選択で正しいのはどれか.
- A.チャージアップを軽減するために加速電圧を低くした
B.エネルギー分散型X線分光装置(EDS)による分析で加速電圧を検出元素のX線励起エネルギーと同じにした
C.高分解能像を得るために加速電圧を高くした
D.反射電子像を得るために加速電圧を低くした
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
- 問50.走査電顕観察用の生物試料の金属コーティングについて正しいのはどれか.
- A.試料表面に導電性を与える
B.二次電子の発生量を増す
C.試料の組成の違いを際立たせる
D.試料の内部構造を観察できる
1.AとB 2.AとC 3.AとD 4.BとC 5.BとD 6.CとD
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