JSM日本顕微鏡学会

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技術認定試験
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電子顕微鏡技術認定試験問題

2002年度 電子顕微鏡技術認定試験問題(一般生物)

13題の問題のうち問1〜問7は必須問題,問8〜問13は選択問題である.問1〜問7はすべて解答し,問8〜問13はその中から3問を選んで解答しなさい.
【必須問題】
問1.図に示すように試料に電子線を照射すると,試料と電子との相互作用によって反射電子が発生する.以下の各設問に答えよ.(10点)
1)どのような電子を反射電子というか,簡単に説明せよ.
2)反射電子の発生効率は入射角θが大きくなるほど高くなる.この理由を説明せよ.(図を用いてもよい)

問2.電子レンズの収差について述べた以下の文章の中の( )にあてはまる適切な語句または数値を解答欄に記せ.(10点)
1)( [1] )収差はレンズの周辺を通る電子線がレンズの光軸付近を通る電子線よりも( [2] )く曲げられるために生ずる収差である.像のボケの大きさはレンズの開き角の( [3] )乗に比例する.
2)( [4] )収差はレンズの焦点距離が変動するために生ずる収差である.その原因としては,( [5] )の初速度のバラツキ,レンズ励磁電流の変動,( [6] )の変動などがある.
3)回折収差は電子が( [7] )を有することに起因する収差で,物点がエアリーディスクとして結像される.その大きさは電子線の( [8] )に比例し,電子線の( [9] )に反比例する.
4)非点収差は絞りの汚れやレンズ電磁界の軸( [10] )性が原因で生ずる収差である.
問3.透過電子顕微鏡で以下のような試料を観察したときに主として現れる像のコントラストの名称を書け.さらにそれらのコントラストの成因を簡単に説明せよ.(10点)
1)場所により重量厚さ(mass thickness)が大きく異なる試料
2)結晶格子縞が現われている試料
問4.走査電子顕微鏡における二次電子像のコントラストは,傾斜角効果,エッジ効果,加速電圧効果,チャージアップ(帯電)などで生じる.これらのうちの傾斜角効果と加速電圧効果を簡単に説明せよ.(10点)
問5.切片試料の電子線照射による熱損傷を少なくするための方法を3つ以上記せ.(10点)
問6.走査型トンネル顕微鏡(STM)と原子間力顕微鏡(AFM)の動作原理と特徴を簡単に述べよ.(10点)
問7.走査電子顕微鏡で像観察中に生じる試料のチャージアップについて次の各設問に答えよ.(10点)
1)チャージアップが像に与える影響を2つあげよ.
2)チャージアップを軽減するための方法を3つ示せ.

【選択問題】
問8.透過電子顕微鏡で試料観察をおこなっている際の,以下のような場合に対する装置の調整法を簡単に述べよ.(10点)
1)像のコントラストをより高くしたい.
2)試料の膜穴に生じるフレネル縞が均一でない.均一なフレネル縞が得られるようにしたい.
3)対物レンズの強さを変えると視野がずれてしまう.視野ずれが生じないようにしたい.
4)光軸上に絞られた電子ビームが集束レンズの強さを変えると同心円状に広がらず片寄って広がってしまう.同心円状に広がるようにしたい.
問9.解答欄に示す図のように電子線を光軸と平行に試料に入射させたとする.試料は薄い板状の結晶で,斜線を施した部位で方位が異なっており,ブラッグ反射を起こしているものとする.明視野像と暗視野像を得る方法をそれぞれ図中に示し,簡単に説明せよ.さらに,これら2種類の像のコントラストの主な違いを述べよ.(10点)
《解答欄》
  明視野像 暗視野像
方法
説明    
違い    
問10.電顕観察中の試料表面に形成されるコンタミネーションの原因と形成過程を簡単に述べよ.さらにコンタミネーションの防止法を3つあげよ.(10点)
問11.走査電顕観察をするためには金属コーティングが必要な試料がある.高解像度を得るためにコーティング膜の粒状性と厚さについて注意すべき点をあげ,それらの理由を簡単に説明せよ.(10点)
問12.走査電子顕微鏡の高分解能化が達成される過程で電子銃と電子レンズについて,どのような問題が,いかに解決されてきたか,を簡単に述べよ.(10点)
問13.直径15mmのアルミニウム試料台上に、0.5〜1μmの大きさを有する不規則な形状の縁絶体微粒子(主成分はアルミニウム,シリコン,銅)を分散させて試料とした.この試料の主成分元素をエネルギー分散形X線分析装置(EDS)を装着した走査電子顕微鏡を用いて定量分析したい.そのためになすべき処置を2つ以上あげて説明せよ.(10点)

一般生物特殊技術 I特殊技術 II

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