学会長のご挨拶

公益社団法人日本顕微鏡学会会長 牛木 辰男

 公益社団法人日本顕微鏡学会は、昭和14年に発足した学術振興会第37小委員会(電子顕微鏡小委員会)を祖として、昭和24年に「日本電子顕微鏡学会」として設立されました。したがって、本学会の源流は電子顕微鏡の開発にあり、発足当初(あるいはその前夜)から、世界に伍する電子顕微鏡開発を軸にして、産・学・官が一体となった、学際的・先端的な学会として活動を続けてきた長い歴史を有しています。また、本学会は単に電子顕微鏡学に関する理論や基礎研究のみでなく、その応用を通して、材料学や細胞生物学など多様な学問分野の進歩に寄与し、さらには産業界の発展に大きく貢献してきました。

 一方で、この50年ほどの間に、さらに多様な顕微鏡の開発がなされ、とくにバイオ分野においては、これら多様な顕微鏡を複合的に用いた研究が主流になってきています。こうしたことから、学会の更なる飛躍・発展を期して、平成15年に「日本顕微鏡学会」と改名し、電子顕微鏡だけでなく、科学の発展に資する多様な顕微鏡技術の発表と研究交流の場に、本学会のフィールドを広げてきました。

 本学会の構成員は大学関係者や国立研究所員のほか、装置開発メーカーの技術者や、企業の研究開発者など多様で、また研究分野も材料学から、医学、生物学、細胞生物学や生物物理学など、他の学会では得られないきわめて学際的な環境となっているのが特徴です。したがって、これらの分野の垣根を超えた交流の場を提供することこそが、本学会の使命でもあるといえます。

 このような本学会のユニークな歴史と使命を引き継ぎながら、本学会をさらに発展させていく上には、1)若手研究者の育成、2)大学と企業の人材交流、3)分野を越えた情報交換の機会創出、などの本質的な課題に、学会全体で引き続き真摯に取り組んでいくことが必要です。産・学・官(あるいは異分野)における課題を共有しながら深化させることができる環境、また、そこから多様な解決策を議論し見出すことができる環境を、学会の中に築きあげることが会長の使命であると思っています。

 会員の皆様の益々のご協力をお願い申し上げますとともに、本会にご興味のある皆様の講演会・講習会等への積極的なご参加を歓迎いたします。